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今週の特集記事明暗が分かれる半導体セクター

米の半導体支援法案が成立へ

CHIPS Actの補助金概要(ドル)

7月末に約527億ドルの米半導体支援法案「CHIPS Act」がついに上院と下院を通過、8月中にバイデン大統領が署名し、法案が成立する予定。法案の内容は大まかに2つに分かれており、5年に渡り半導体の生産や開発に補助金が支給されるほか、半導体の生産や開発に関わる投資の25%相当が税額控除になる。米国の半導体関連企業にとっては、大きなコスト削減が期待できよう。

半導体需要先の状況

22年の半導体関連株は、FRBの金融引締め、ロシアによるウクライナ侵攻、中国での都市封鎖など、様々なリスク要因に昨年の強気相場からの反動も加わり、軟調になった。

PCとスマホ市場は上記影響を最も受けた市場とみられる。半導体メモリー大手のマイクロン(MU)、製造のTSMC(TSM)、クアルコム(QCOM)、サムスンなどがそれぞれの決算説明会で弱気な見通しを発表。調査会社Gartnerは今年のPCとスマホの出荷台数はそれぞれ前年比9.5%減、同7.1%減(6月末時点、下方修正の可能性も)と予想。アップル(AAPL)は、マクロ経済の影響によるiPhoneの販売減はみられないと説明した。

自動車向け半導体については、堅調な成長が継続しよう。ゼネラルモーターズ(GM)が半導体部品などを待つ未完成車は95,000台もあり、車載半導体不足の状況は続いているとしている。改善の兆しはあるようだが、回復までには少し時間がかかりそうだ。その他、電動化社会に向け、パワー半導体の需要増が見込まれよう。

データセンターとクラウド市場は成長が継続すると見られる。TSMC等各関連メーカーが強気な見通しを示しているほか、マイクロソフト(MSFT)、グーグル(GOOGL)、アマゾン(AMZN)など、販売先大手の決算内容をみると、高い成長率が継続しており、設備投資にも減額の兆しは暫く見られないようだ。

車載半導体メーカーの収益予想成長率(22年) 関連事業の収益成長率の推移(前年比)

データセンター関連メーカー

AMD(AMD)は軟調なPC市場から影響を受けているが、同社のPC市場でのシェアはインテル、エヌビディアの2社より小さい一方で、データセンター市場でのシェアは拡大しつつある。また、同社が買収したザイリンクスのFPGA(チップの1種)はミサイルに使われるが、米国は自国在庫の約1/3にあたる7000基超の対戦車ミサイル‐ジャベリン(1基当たり約250枚のチップを搭載)をウクライナに送り、ロッキードマーチン(LMT)はジャベリンの生産量を2倍にしたと伝わっている。足もとの軍事費増加の動きは一部チップの需要増に繋がろう。ブロードコム(AVGO)も相対的に有利か。データセンターの他、アップルが主要顧客で、軟調なスマホ市場からの影響は軽微と見られる。一方、エヌビディア(NVDA)はAIや機械学習などの領域で技術的なリードはあるが、ゲーミングや仮想通貨でPC市場からの収益も相当程度あることは留意しておきたい。

インテル(INTC)は軟調なPC市場に加え、設計や製造などの理由で自社製品の発売が遅延。市場シェアを崩しながら大規模な投資も行っており、当面は遠慮したい。

ファウンドリと製造設備メーカー

各メーカーの資本的支出額予想(22年)

ファウンドリと製造設備メーカーは米半導体支援法案の最大の受益者と考えられる。米国での設備投資や工場の建設に直接補助金が出るほか、投資額の25%分が税額控除となる。各メーカーのEPSやフリーキャッシュフローに好影響をもたらそう。

一方で、ファウンドリには気になる面も。国際半導体製造装置材料協会(SEMI)のレポートによると、24年には中国で約31カ所の成熟製品(先端製品を除く)向けのファウンドリが完成する予定。ファウンドリは工場が大量に立ち上がると供給過剰に繋がり、営業レバレッジも相対的に大きいセクターでもあるため、利益はより景気に敏感になろう。成熟製品の半導体メーカーにとって、独自技術の開発が極めて重要になって来よう。

補助金の支給条件

主要各社の中国からの収益比率

法案内容によると、税額控除と補助金を受けるには、中国企業との取引を米商務省に開示しなければならない。過去やこれからの取引が先進の設備やチップと判断されると、取引が商務省により取り下げられる可能性も高くなる。商務省のルールに違反すると、全ての優遇が取り消される(既に付与された分を含む)。具体的に、どの程度の影響が出るのかを判断することは難しいが、米下院議長ペロシ氏の台湾訪問、「チップ4」の半導体サプライチェーン同盟についての協議、半導体設計に関わるソフトウェアの対中輸出の一部制限観測など、様々なリスク要因を無視することはできないだろう。

原材料の方が安定か

半導体は、主にロジック、アナログ、メモリーなどに分類されるが、一部のパワー半導体を除き、ほとんどの半導体は、どこで作られても、どこに使われても、その使用量が増加する限り、生産のためにはシリコンウエハーやフォトレジストなどの原材料を使わなければならない。米国を中心に主要国は中国勢の原材料の開発能力向上を阻止しながら、中国向けの販売を継続すると予想される。原材料分野で絶対的な優位性を持つ日本勢の信越化学(4063)、SUMCO(3436)、JSR(4185)、東京応化工業(4186)などがこの半導体競争の隠れた勝者になる可能性もあろう。

(投資情報部 萬)

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