今年に入り、海外投資家による「中国株売り」が一部で伝えられている。長引く米中対立やウクライナ戦争、中国のゼロコロナ政策やロックダウン(都市封鎖)などが売り材料とされる。ただ、実際には必ずしも一方的な売却ではなく、しっかり買い戻す動きもあるようだ。
ストックコネクトの「香港⇒中国」投資は出入りが激しい。今年1月は167億元の買い越しでスタートも、ウクライナ戦争による影響や中国の都市封鎖などが懸念視された3月は逆に450億元の売り越し。上海総合指数と深セン成分指数は4月下旬に年初来安値まで下げた。
その後は買い戻しの動きが強まる。4月、5月と徐々に買越額が増え、6月は月次ベースで過去3番目に大きい729億元の買い越しだった。
要因としては、売られすぎ感の台頭、新型コロナの新規感染者数の落ち着き、中国の政策期待などが挙げられる。4月末の中共中央政治局会議でプラットフォーム経済の健全な発展を支持する方針が示され、5月末に国務院が景気促進と雇用安定化を目的とした33の政策措置を発表したことも後押し材料になったようだ。
一部で利益確定売りが膨らみ、7月は210億元の売り越しとなったが、1~7月累計で見れば海外資金流入額は507億元。「中国株売り」の声は必ずしも事実を反映してはいない。
7月の「売り越し月間」においてしっかり買われた銘柄もある。深セン邁瑞生物医療電子は32億元、天斉リチウムは24億元、貴州茅台酒は22億元、中国旅遊集団中免は15億元の買い越しだった。新エネルギー関連では、隆基緑能科技、通威、特変電工などへの買いが目立った。これまで買い進まれていた資源や電子系で売られた銘柄もあるが、外資に人気の大型株への資金流入は総じて安定していると言えるだろう。
(上海駐在員事務所 奥山)