目下、年末に向けた師走のIPOラッシュが進行中であり、上場先として目立つのがマザーズ市場だ。また、数ある投資の参考指標の1つとして「東証マザーズ指数」というのも存在するが、それらはどのようなものなのか。
マザーズ市場とは、東京株式市場を構成する重要な市場であるが、上場会社数は332社(12/7時点、外国会社除く)と4市場中最も少ない。同じく新興市場と言えるJASDAQ市場は701社(スタンダードとグロース合算、同)だ。
マザーズが注目に値すると考えられるのには、次のような理由があろう。そもそもマザーズ市場は多くの企業に資金調達の場を提供するという観点に立っているが、上場に際しては特に「高い成長可能性」が求められている。また、市場第一部への指定替えを視野に入れているという特性からも、中長期的に大きなリターンを生み得る非常に有望な投資対象が眠っている市場と言えよう。事実、IPO企業数も直近数年間を見ても圧倒的である。
結論から言うと、マザーズ市場は「日本における米NASDAQ市場」と言えよう。
NASDAQ総合指数は史上最高値を更に更新する勢いであるが、マザーズ指数は過去最高値には程遠い。一方で、足もとではマザーズ指数がアウトパフォーム傾向にあった。その背景には、GAFAに類するような世界的大型ハイテク株が日本では乏しいとはいえ、マザーズ市場にはコロナ禍において需要が拡大中の「オンライン〇〇」関連事業を手掛ける企業が多数上場していることがあろう。
「日本には世界的に名高い老舗企業が多いが、GAFAと同様の文脈では語れないだろう。ならば、マザーズ市場でGAFAの代替たり得る将来的な有望企業を探そう」。足もとでマザーズ市場でも存在感を増している海外勢はそんな思い・期待を抱いているのかもしれない。
(マーケット支援部 山本)