8/28に、安倍晋三首相が首相官邸で記者会見をし、辞意を正式に表明した。8/24に連続在任日数が歴代最長記録を更新したとあって、驚きをもって受け止める見方が多かった様子。
後継を巡っては、菅義偉官房長官と岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の3氏による争いとなる。今後は9/14に新総裁が選出され、16日には新首相が選出される運びだ。
市場では辞任の意向が伝わったのをきっかけに、一時的に波乱含みの展開が見られた。政権を担う自民党の主導的な立場は維持されると見られるため、政治が不安定化することはないだろうが、日本株の復活の1つのエンジンとなっていたアベノミクスの継続性に疑義が生じたと受け止められたのだろう。3氏の主張を見ても、新型コロナ対策と経済活動の両立と、アベノミクス継続をセットで明言しているのは菅氏のみであり、岸田氏か石破氏が新首相となった場合、経済政策の変更が為されるとの警戒感がある様子。
もっとも、菅氏は二階俊博幹事長が支持を表明する等自民党7派閥のうち5派閥の支持を取り付けており、菅氏が新総裁に選出、新首相となるとの見方が大勢だ。
仮に菅氏が新首相となった場合、市場にはどのような影響が及ぶのか。直近の菅氏のインタビュー等における発言をまとめたので、御参照頂きたい。
もちろん、過去の実績や発言等もヒントになる。例えば、菅氏は「活力ある地方」を政権構想に掲げているため「地方創生」というテーマも導出できるし、観光需要喚起策「Go To(トラベル)」を積極的に推進したという実績からは、旅行・レジャーというテーマも導出できる。いずれもアベノミクス相場の延長線上で語れそうなテーマである。そのため、基本的には市場のトレンドに変更は無く、むしろ上に挙げたようなテーマ等にはより注目が集まる可能性が高いと考えられよう。
ちなみに、厳しい環境に置かれそうな携帯大手3社株に関しては、非通信領域をどれだけ強化できるか或いはどの程度比較優位が確立されているかで明暗が分かれると思われる。
主な関連銘柄としては、M&A(2127)、エムスリー(2413)、オープンドア(3926)、IBJ(6071)、メドピア(6095)、JR東海(9022)、NTTデータ(9613)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)