2019年12月に中国湖北省武漢で最初に発見されたとされる新型コロナウイルスは、目下世界中で猛威をふるう。中国から今やアジア、北米、南米、中東、欧州まで感染が拡大。実体経済にもその影響は及び、IMFは3%超と見込んでいた2020年の世界経済成長率が2009年の-0.1%を下回る可能性を示唆した。
WHOがパンデミック宣言を発令する程の事態となっていることを受け、各国政府は感染拡大防止に向けて断固たる施策を打ち出している。
中国での武漢封鎖に始まり、米欧諸国では主要都市のロックダウン(封鎖)や外出禁止措置が講じられ、違反者には罰則が科されるといったような徹底ぶり。イタリアでは市長が自ら街に出て外出禁止を呼びかける場面も見受けられた。
また、各国共通するのは、大規模な景気対策にも断固たる姿勢で臨んでいることだ。主な取り組みは右図を参照頂きたい。
一方で注目し得るのが、新型コロナウイルスの封じ込めに向けた製薬会社の取り組みだ。新型肺炎が終息に向かうためには、治療薬やワクチンの開発等が不可欠である。
治療薬に関しては、ギリアドサイエンシズがエボラ出血熱の治療候補薬「レムデシビル」の臨床試験を行う他、富士フィルムは抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」の臨床試験を行う。帝人ファーマの「オルベスコ」やアッヴィの「カレトラ」のように、一部で有効性が確認されたとの例も見受けられる。また、ワクチンに関しては、モダーナやジョンソンエンドジョンソンが取り組む事例が見られる。
新型肺炎が市場を揺るがす中での投資先の選別においては、世界経済を持続可能な成長段階に戻すことを長期的な視座に置いた、こうした取り組み事例も参考となろう。
(マーケット支援部 山本)