発展と環境汚染のジレンマ
世界は100年前と比べても驚く程に発展してきている。様々な技術革新等を経て、経済成長と生活水準の高度化を達成する国や地域が年々増えつつある。
それと同時に進んでいるのが、地球環境の汚染ないし破壊だ。今の世界経済や生活のほとんどは石油や石炭といったような化石エネルギー資源に依存しており、これらの大量消費によって地球温暖化が進行し、異常気象や海面上昇、洪水、食糧不足等の深刻な問題が発生しているとされている。
再生可能エネルギーへの注目
そうしたなかで注目を浴びているのが、再生可能エネルギーだ。再生可能エネルギーとは、温室効果ガスを排出せずに生産でき且つ永続的に利用できる低炭素のエネルギーとされ、エネルギー源としては、太陽光や風力、地熱、水力、バイオマス等が挙げられる。
こうした再生可能エネルギー或いは環境保全に関して、2016年発効のパリ協定では世界的に温室効果ガスの削減目標が定められたが、日本においては2030年度までに2013年度比26.0%削減することを中期目標として定めている。ちなみに、日本は2030年度のエネルギーミックスにおいて、再生可能エネルギーの割合を22-24%と、2016年度の15%から引き上げる見通しを示している。これらにより、CO2排出量を2016年度の11.4億トンから9.3億トンへ減らし、エネルギー自給率を同8%から24%へと引き上げる方針。
中東情勢等の不透明化やEV(電気自動車)の普及、そしてIoTの本格化を勘案すると、増加する電力需要と地球環境の保全という一見トレードオフの関係にある課題解決に、再生可能エネルギーの活用は避けては通れない事項だろう。
再生可能エネルギー社会へ総力戦?
再生可能エネルギーの本格的な活用或いは地球環境保全に向けて、既に官民を挙げた対応がとられている。政府は2030年を目途としたエネルギー源毎の対策を示している他、再生可能エネルギーと並び水素を新たなエネルギーの選択肢として提示すべく、2017年12月に水素基本戦略を策定している。
また、民間企業にも取り組みが見られる。例えばある電炉鋼材メーカーがCO2排出量を4分の1に削減する試みを行う他、太陽電池やメガソーラーといったような再生エネルギー関連事業を手掛け始める企業も少なくない。さらに、波力・海洋を活用した発電や草をエネルギーに変換し活用する試みも散見される。
持続可能な発展の実現に向けて、本格的な取り組みはまだ始まったばかりかもしれない。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本株では関電工(1942)、協エクシオ(1951)、日揮HD(1963)、イメージワン(2667)、イーレックス(9517)、米国株ではネクステラエナジー(NEE)、中国株では中国光大国際(00257)、龍源電力(00916)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)