配送効率化と再配達削減は喫緊の課題
近年のネット通販の拡大とともに、宅配便の取扱個数は増加しており、今後も更なる増加が見込まれている。消費者のニーズの多様化により、宅配便の小口化・多頻度化も進んでおり、積載率の低下や再配達の発生など、配送の非効率化が発生している。このような中、トラックドライバー不足も顕在化してきており、宅配事業者、通販事業者双方の連携した取組による配送の効率化と再配達の削減は喫緊の課題となっている。
ネット通販拡大による宅配需要の増加
高年齢層のパソコンを利用した取引や、若年層を中心としたスマートフォンを利用した取引の拡大などにより、2017年度のネット通販は前年度比5.8%増の約16兆5000億円へと拡大した。このような背景を受けて宅配需要も増加しており、宅配便の取扱個数は5年間で約21%増加し、2017年度は約42億5000万個にも達している。
事業者だけの取り組みでは限界も
宅配業界では、トラックドライバー不足の顕在化や、再配達の発生に加えて、宅配便の小口化・多頻度化など市場環境の変化による配送の非効率化が問題となっている。
スマートな受取を目指して
宅配事業者やEC事業者は、メールやアプリなどを活用した配達予定日時の通知・変更サービス等を提供するなど、消費者とのコミュニケーション強化に取り組んでいるほか、宅配ボックスや置き配等の多様な受取方法の提供など、再配達削減の取り組みを行っている。国は今後想定される物流危機を見据え、「宅配事業とEC事業の生産性向上連絡会」を2018年5月に設置した。早期の課題解決と関連企業の収益拡大に期待したい。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本郵政(6178)、パナソニック(6752)、ヤマトHD(9064)、福山運(9075)、セイノーHD(9076)、SGHD(9143)、などが挙げられよう。
(マーケット支援部 大塚)