5/20~24の中国株式市場は、香港市場を中心に上昇傾向を維持すると見込まれる。
5/11に発表の4月新規社会融資総量は1987億元の減少と、05年以来の減少となった。市場金利が低下しているにもかかわらず、企業や個人が投資を控えたようだ。このため、政府は景気下支え策や消費意欲向上のための収入増に努めている。具体的には、5/17に超長期債の第1弾を発行しインフラ投資を拡大する見通し。不動産対策としては、一部地方政府が住宅取引規制の撤廃等を急ぎ、また、不動産会社の債務に対する政府保証を碧桂園(02007)の5/9の利払いに対し初めて適用した模様。更に、本土個人投資家がストックコネクト経由で購入した香港株の配当に対し免税を検討しているようだ。
業績発表では、大手IT企業2社の1~3月決算が5/14にあり、テンセント(00700)は広告収入等が拡大し、前年同期比62%増益と市場予想(42%増益)を上回った。一方、アリババ(09988)は投資拡大等を背景に、一時的損益を除く純利益は同11%減益となり、両社で明暗を分けた。
5/20の週はトリップ・ドットコム(09961、5/21)、小米集団(01810、5/23)などが決算発表の予定。特に、トリップ・ドットコムが明るい見通しを示せば、旅行や外食関連が物色されよう。米市場金利はピークアウトしており、その影響を受けやすいハンセン指数は、まずは20,000ptを目指して上昇すると見込まれる。
(5/15記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
テンセント(香港・00700/Z4275)
◆中国の総合ネット大手。オンラインゲーム・広告、フィンテックやクラウドなど幅広い事業を展開
◆24年1~3月期(1Q)の売上高は前年同期比6%増、純利益は同62%増、一時的な損益などを除くNon-IFRSベースの純利益は同54%増と収益性改善が続き、業績は市場予想を上回った
◆1Q、「微信(WeChat)」内のショート動画サービス「視頻号」の利用時間は前年同期比80%超増加し、広告やライブコマースなどによるマネタイズが大きく進展。同社は生成AIとその基盤技術である大規模モデルに注力。自社開発の「混元(Hunyuan)」は、トップクラスの基盤モデルまで成長。また、24年の自社株買いは23年の490億HKDから1000億HKD以上に拡大する計画
(参考)「微信」エコシステムは中国での生活インフラに進化
◆24年3月時点、スーパーアプリ「微信(WeChat)」のMAU(月間アクティブユーザー数)は13.59億人に上った。微信はチャット・SNSツールから多様なサービスをアプリ内で完結する巨大なエコシステム(生態圏)へと進化し、もはや中国で生活に欠かせない社会インフラとなっている。ショート動画サービス「視頻号」などユーザーニーズに即した機能拡充は、同アプリの競争力強化、収益拡大の原動力に
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)