5/13~17の中国株式市場は、政策期待とファンダメンタルズの改善から上昇傾向を維持すると見込まれる。
足元で中国株が上昇基調を強めている。背景としては、政府の政策期待と市場金利の低下が挙げられよう。4/30には共産党中央政治局会議で不動産危機への新たな対策が検討されると報じられ、また、習国家主席は欧州を訪問し5/5にはマクロン仏大統領に関係強化を働きかけた。更に、労働節祝休日(5/1~5)前の資金需要期を超えると、米市場金利の低下もあり、中国でも市場金利が急速に低下した。中国株式市場には海外からの投資資金も流入し、4/22~5/7に上海総合指数は2.7%上昇。米国金利の影響を受けやすい香港ではハンセン指数が13.9%上昇。特に不動産関連株とテンセント(00700)等の情報関連株が値上がりした。
5/17に発表予定の4月主要経済指標は、既に発表された4月購買担当者景気指数(PMI)が不振だったこともあり、下振れる可能性がある。ただ、労働節の国内旅行者数が前年比7.7%増、1人当たり支出額も同4.7%増と、消費意欲は低水準ながらも改善しつつある。また、各地方政府は住宅取引規制を一段と緩和しており、そろそろ新築住宅販売の底打ちを確認できるかもしれない。不動産問題は最大の懸案事項であるため、新築住宅販売の下げ止まりは投資家に安心感を与えよう。5/13の週の中国株式市場は上昇傾向を維持すると考える。
(5/8記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
宇通客車(ユートン・バス、上海A・600066/Z8641)
◆バスの開発、製造、販売を手掛ける
◆24年1~3月期の売上高は前年同期比85.0%増の66.1億元、純利益は同445.0%増の6.5億元。粗利益率は同3.4%pt改善し24.8%となった。同社は24年の売上目標を前年比21.6%増の329.0億元に設定
◆国内旅行ニーズの高まりにより、同社の23年市場シェア(大、中型バス合計、販売台数ベース)は前年比8.0%pt上昇の36.1%でトップ。24年1~4月のバス販売台数は前年同期比69.4%増の1万2329台と堅調を維持している。また、海外市場においては同社の23年のバス輸出台数が前年比78.8%増の1万165台に達し、海外部門の売上比率が22年の25.6%から38.4%に上昇した
(参考)国内旅行市場の回復と同社の大型バス販売増
◆23年の国内旅行者数は48.9億人で19年の8割に回復し、24年は前年比23.1%増の60.2億人に達する見通し。旅行ニーズの拡大を受け、同社の利益率が高い大型バス販売好調で収益性が改善している。23年の同社の大型バス販売台数は前年比64.9%増、中小企業が撤退する中、市場シェアを拡大した(市場全体の伸び率は5.9%増)。24年1~4月も前年同期比95.7%増と好調が続いている
(投資情報部 呉)