8/28~9/1の中国株式市場は徐々に売り圧力が弱まり、後半はしっかりの展開を見込む。
8/21に発表された最優遇貸出金利の引き下げは、1年物は0.1%pt引き下げられたが、住宅ローン金利の引き下げに繋がる期間5年以上の金利は据え置かれた。政府が米中金利差拡大による急速な人民元安を懸念したためと考える。その人民元の対ドルレートは、金融当局による人民元安対策を受け、足もとで7.30元/ドルと安値ながら安定しつつあり、株価の下支え要因となった。
8/27~30にレモンド商務長官が訪中予定。訪中前に米国は中国企業27社を暫定的輸出統制対象から除外する等、秋波を送った。会談で米中関係の悪化に当面の歯止めがかかれば、株価上昇の材料となろう。8/31には8月購買担当者景気指数(PMI)が発表予定。8月初めに北京周辺の豪雨や洪水で甚大な被害が出たため、経済指標は下振れしやすいであろう。ただし、多くの地方政府が住宅取引規制を緩和したこともあり、8月週次の1級都市の新築住宅販売は下げ止まりつつある。9/1前後には8月の新築住宅販売動向が発表されよう。株式市場が不動産問題を注目しているだけに、住宅販売に下げ止まりの兆しがみられれば、株価は反発すると考える。特に、香港のハンセン指数は予想PERが過去のレンジ下限水準にあるため(8/22:8.9倍)、割安感から急反発する可能性もあろう。
(8/23記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
銀河娯楽集団(ギャラクシー・エンターテインメント・グループ)(香港・00027/Z5136)
◆カジノや関連ホテルなどの開発、運営を手がける
◆23年上半期の売上高は前年同期比140.9%増、調整済みEBITDAは前年同期の1.9億HKD⇒44億HKD
◆マカオと本土の往来制限の緩和による旅行客数の増加で、マカオのホテル平均稼働率は22年末の43%⇒23年6月の84%に回復。23年後半にある祝日での旅行ニーズ増加も後押し。23年1~7月のマカオのカジノ収入は前年同期の3.6倍に急伸し、19年同期の56%まで持ち直し、23年8~12月は19年の74%まで回復すると予想。23年2Q、新設ホールが開業し、世界規模のコンサートなどを主催。リゾート建設プロジェクトも推進し、今後非カジノ分野は業績に寄与しよう
(投資情報部 呉)
アリババ集団(香港・09988/Z8924)
◆世界最大流通総額を持つeコマース(EC)会社。EC事業のほか、クラウド、フィンテック、ネット出前や物流など幅広いサービスを提供
◆23年4~6月期の売上高は前年同期比14%増、一時的な損益などを除くNon-GAAPベースの純利益は同43%増
◆物流事業などは大幅増収、顕著な収益性改善を実現。今後スピンオフ上場が実現すれば、同社企業価値の増大につながろう。4月に発表された生成AI「通義千問」は同社全ての製品・サービスに組み込むほか、顧客企業に対して独自の大規模言語モデル構築をカスタマイズするサービスも提供。今後、通義千問はクラウド業界における同社の競争力強化を後押しする見込み
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)