8/21~25の中国株式市場は方向感のない展開を見込む。
8/15に発表の7月主要経済指標は、多くが市場予想を下回った。鉱工業生産は前年同月比3.7%増と、6月実績(同4.4%増)を下回り、小売売上高は伸び率が更に鈍化し、同2.5%増となった。7月単月の固定資産投資も減速し、景気下支えが期待されるインフラ投資も伸び率が大幅に鈍化した。猛暑や洪水による影響に加え、不動産会社の債務不履行問題等が消費者の購買意欲や企業の投資意欲を減退させたことも考えられる。同日、金融当局は一部政策金利の予想外の利下げを実施し、景気に対する配慮を見せた。
8/21には最優遇貸出金利の引き下げが見込まれ、また、08年以降で初めてとなる株式の印紙税率引き下げも近々発表される可能性がある。更に、北戴河で長老が習近平政権の経済運営に懸念を表明しているとみられ、会議後には、景気刺激策が追加発表される可能性もある。
一方で、不動産会社の債務不履行問題の影響もあり、一部で信託会社の金融商品で償還金支払いが遅延している。政府の対応が遅れれば、金融リスクが高まる可能性がある。そのような中、人民銀行が人民元安をある程度容認する姿勢を示しているようだ。8/21の週の株式市場は好悪材料が混在し、方向感のない展開を見込むが、一時的に下振れリスクが高まる可能性もあろう。
(8/17朝記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
中国電信(チャイナ・テレコム)(香港・00728/Z4063)
◆23年6月末時点のモバイル契約数は4.0億件。そのうち、5G契約数は2.9億件
◆23年上半期は前年同期比7.6%増収、同10.2%増益
◆政府はデジタル経済を強力に推進し、中国のデジタル経済規模は22年の50.2兆元⇒32年の100兆元以上に拡大する見通し。クラウドサービス「天翼雲」の売上高は279億元(21年)⇒579億元(22年)と急増が続き、23年には1000億元を目標としている。中国パブリッククラウド(IaaS)における市場シェアは22年に第2位の16.3%に拡大。AI(人工知能)「TeleChat」を発表し、新たな商機を広げていくと期待。23年の配当性向を70%以上へ引き上げる方針(22年は65%)
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
中国移動(チャイナ・モバイル)(香港・00941/Z2839)
◆通信サービスが主力事業。23年6月末時点のモバイル契約数は約9.9億件。そのうち、5G契約数は約7.2億件
◆23年上半期は前年同期比6.8%増収、同8.4%増益
◆クラウドや産業向け5GソリューションなどDX(デジタル・トランスフォーメーション)事業を新たな成長ドライバーとして設備投資を積極的に推進。23年のサーバー計算能力へのCAPEX(資本的支出)は前年比34.9%増の452億元を計画(全体のCAPEXに占める割合は同6.6pt上昇の24.7%)。23年上半期のDX関連収入は前年同期比19.6%増加し、今後の成長ポテンシャルは高いと見込まれる。23年の配当性向を70%以上へ引き上げる方針(22年は67%)
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)