7/3~7の中国株式市場は方向感のない展開を見込む。
6/24にロシアで傭兵集団「ワグネル」による反乱が発生。1日で収束したものの、プーチン露大統領と親しい習国家主席と中国にとっても不安定要因になるとみられる。中国政府も米中関係改善を模索しているのか、6/27には駐米中国大使が米国務省と電話会談を実施し、7月上旬にはイエレン米財務長官の訪中が予定される。
端午の節句(6/22~24)の国内旅行者数は19年比13%増だが、観光収入は同5%減で、人々の倹約ぶりを示した。政府は中国北部ではエルニーニョによるとみられる猛暑が農作物の生育に影響すると懸念を表明、また、一部都市では節電により工場の生産が抑制された。今夏は猛暑が見込まれ、景気を更に押し下げる可能性がある。そのこともあり、6/27に李強首相は世界経済フォーラムで「中国の需要拡大のため実用的で効果的な政策を採用する」と発言。景気刺激策に対し再び期待が高まっている。
株式市場は7月末に開催が見込まれる党中央政治局会議での景気刺激策を待ちつつ、方向感のない展開ながら、刺激策が出れば反発しよう。仮に不十分でも、サービス業を含む国有企業は既に増益基調で、企業業績は最悪期を抜けつつある。在庫調整が終わるとみられる年後半には、株価は上昇局面に入ろう。
(6/28記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
株洲中車時代電気(ヂューヂョウ・シーアールアールシー・タイムズ・エレクトリック)(香港・03898/Z4555)
◆鉄道車輛向けの電力制御システムなどを開発・製造するほか、パワー半導体や新エネ車用の電気駆動システムなども手がける
◆23年1~3月期の売上高は前年同期比21.3%増、純利益は同27.6%増。軌道交通の利用が増加し通期の業績を押し上げよう
◆パワー半導体の需要拡大に伴い、新エネ車や新エネ発電向けなどのパワー半導体工場の新設計画を推進。子会社の株洲中車時代半導体が割当増資を行い、戦略投資家を受け入れる計画。実現すれば、パワー半導体の事業価値の顕在化につながろう。このほか、炭化ケイ素(SiC)ベースの次世代パワー半導体の研究開発・製造能力も強化中
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル)(上海A・600887/Z8454)
◆杭州アジア競技大会の乳製品独占サプライヤー。22年中国での販売シェアは21.2%と首位で、ライバルの中国蒙牛乳業(02319)の16.3%を上回る
◆23年1~3月期は前年同期比7.8%増収、同2.7%増益
◆健康意識向上のほか、政策の後押しもあり、23年の中国の乳製品市場規模は前年比6.0%増の5279億元に達する見通し。市場拡大の恩恵を受けそう。ハイエンドを中心とする新商品投入に注力中。稼ぎ柱の一つである「安慕希」は中国でポピュラーな常温保存可能なヨーグルト市場で6割以上のシェアと圧倒的(22年)。また、今夏は例年より高温傾向が続く見込みで、アイスクリーム最大手の同社の追い風になりそう
(上海駐在員事務所 山藤)