6/19~23の中国株式市場は、利下げが行われれば株価は持ち直しの期待が高まろう。
6/9に発表の5月消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.2%上昇、生産者物価指数(PPI)は同4.6%低下。中国の需要は弱いようだ。このため、金融当局は国有大手銀行に預金金利の引き下げを指示、他行もそれに従った。これにより、銀行の貸出金利引き下げ余力が生じるとみられる。また、金融当局は6/13に7日物リバースレポ金利とSLF(常設貸出制度)金利を各々0.1%pt引き下げた。
裾野が広い住宅産業が4月、5月共に不振で、中国の景気持ち直しを阻害する可能性がある。このため、金融当局は米利上げが一旦打ち止め決定後の6/20に、最優遇貸出金利(1年物現行3.65%)を引き下げ、融資コストの低減を図ると予想する。
6/19の週は、6/22~23は本土市場が端午の節句で休場。香港市場も6/22に休場。中国株式市場は米中関係の悪化や景気下振れ等が懸念され、日米株式市場に大きく出遅れている。ただ、遅れていたブリンケン米国務長官の訪中が6/18~19に決定し中国政府高官と会談予定。また、6/20に利下げを含め、政府が再び景気回復を支援する動きを見せている。これらが中国株持ち直しのきっかけになると考える。
(6/15朝記 投資情報部 白岩)
【紹介銘柄】
同程旅行控股(トンチェン・トラベル・ホールディングス)(香港・00780/Z8883)
◆各種交通チケットやホテルなどの予約を手がける。 OTA(オンライン・トラベル・エージェント)で中国第3位
◆23年1~3月期の売上高は前年同期比50.5%増収、同273.6%増益
◆23年に入り本格化してきたリオープンに伴い旅行市場は回復中。1~4月の鉄道旅客輸送量は前年同期比倍増し、市民の移動ニーズが大きく増えている。22年の国内旅行者数は19年の約4割だが、23年は同7~8割程度までの回復が予想される。また、中国のオンライン旅行予約のユーザー数はネットユーザー全体の4割(22年末時点)を占めている。旅行市場の復活に伴い交通チケットやホテルなどのスマホ予約が戻り、同社業績のV字回復が見込めよう
(上海駐在員事務所 奥山)
立訊精密工業(ラックスシェア)(深センA・002475/Z8693)
◆各種ケーブル、コネクタ、音響、ワイヤレス充電、モーター、アンテナなどを生産
◆23年1~3月期は前年同期比20.1%増収、同11.9%増益。同6月中間期は同10~20%増益見通し
◆売上全体に占める米アップル向け比率は73.3%(22年推定)。「AirPods」「Apple Watch」などに加え、ゴーグル型端末「Vision Pro」(24年発売予定で、一般消費者向けの主力次世代機)の受託生産も請け負うようで、業績に寄与しそう。また、 EVなどの成長分野を狙い、奇瑞汽車と包括提携した。アップルが計画する「アップル・カー」の受託生産も視野に入れているもよう。新エネ車OEMは中長期的に収益向上につながると見られる
(上海駐在員事務所 奥山)