労働節で本土市場は5/1~3が休場、香港市場は5/1のみ休場。5/12までの中国株式市場は上値の重い展開を見込む。
足元で中国株は軟調な地合いが続いている背景としては、米中の緊張関係と不動産税導入の可能性等が挙げられる。米中関係については、以前から中国による対ロ武器輸出疑惑や台湾問題等で関係が悪化していた。4/21には在仏中国大使の盧沙野氏が「旧ソ連諸国は独立国家として主権を有する地位を持っていない」と発言し、欧州で強い反発を招いた。また、バイデン米大統領が米国企業による中国の重要産業等への投資規制強化を5/19から始まるG7首脳会議前に発表すると報じられている。不動産税については、4/25に不動産税の導入に必要な中国国内の不動産登記システムが整備されたと報じられた。中国の 主要財政収入である土地使用権販売収入が減少しているため、政府は新たな財源を探しているとみられる。景気回復前に増税を実施すると回復が腰砕けになるリスクがあり、株式市場が神経質になっているようだ。
ただし、4/26に習近平国家主席は、ロシアによるウクライナ侵攻後初となるゼレンスキー大統領との電話会談を行い、6/20にはドイツでショルツ独首相と李強首相との会談が予定される。欧州との関係改善は進む可能性がある。米追加規制が想定内ならば、発表後は当面の悪材料出尽くしとなろう。今年は景気回復が見込まれるため、株価は上昇基調を維持しよう。
(4/27朝記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
啓明星辰信息技術集団(ヴィーナステック・グループ)(深センA・002439/ Z8901)
◆情報セキュリティ製品、サービスの提供などを手掛ける
◆22年12月期は前年比1.2%増収、同27.3%減益。23年1~3月期は40.0%増収、32.6%増益、同社は23年通年で前年比3割強の増収を見込む
◆22年9月に中国通信事業大手のチャイナモバイル(00941、以下モバイル)と戦略提携。モバイルのネットワークを利用し、顧客層の拡大に期待。22年のモバイルに提供した情報セキュリティ・サービスによる収入は4億元、23年には約15億元に増大見通し。23年の業績を押し上げそう。また、情報セキュリティの市場規模は年率30%以上で成長し25年までに1500億元に達すると予想され、同社も恩恵を受けそう
(投資情報部 呉)
上海璞泰来新能源科技(シャンハイ・プータイライ・ニュー・エナジー・テクノロジー)(上海A株・603659/ Z9023)
◆主力製品はリチウム・イオン電池の部材である負極材など。負極材市場の8割を占める人造黒鉛の同社の中国シェアは23%と7年連続で首位
◆22年12月期は前年比71.9%増収、同77.5%増益と好調。ミドル/ハイエンド製品に集中しており、全体の粗利益率は36%(22年)とライバルの寧波杉杉(600884、24%)などを上回り業界最高
◆人造黒鉛の負極材は天然黒鉛よりも急速充電に適しており、新エネ車の普及やリチウム・イオン電池の交換需要の拡大等を背景に、出荷が22∼25年に3倍になると見込まれる(21年:60万トン⇒25年:179万トン)。市場拡大の恩恵を受けよう
(上海駐在員事務所 山藤)