8/8~8/12の中国株式市場は神経質な展開が継続しよう。
7/31に発表された7月の購買担当者景気指数(PMI)は、製造業、非製造業共に低下、特に製造業は景況感の分岐点である50を下回った。国内では新型コロナ感染が一部残ることや洪水等の天災により、海外では都市封鎖解除後の輸出拡大の反動か、国内外の新規受注が悪化した。
外交面では、8/2にペロシ米下院議長が台湾に到着。中国は米国の台湾関与のレベルが上がったとみて、強く反発した。今秋に共産党大会を控え、弱腰な態度を見せられないと考えているようだ。中国は8/4~7に台湾周辺で軍事演習を行うと発表。それ以降も台湾に軍事的威嚇を続ける可能性がある。
8/7には貿易統計が、翌週初めの8/15には7月主要経済指標の発表が予定される。米中関係の悪化で株式市場が不安定になる中、7月PMIが示唆するように経済指標が予想以上に悪化した場合、株価は更に神経質な反応となろう。
前回の最高指導部選出のための党大会が開催された2012年をみると、日本の尖閣国有化を背景に中国による軍事的威嚇が強まった。株価は、中国景気が減速していたこともあり下落傾向が続いたが、11月の党大会後に景気持ち直し等を背景に上昇へ転じた。今後、米中の外交努力等も期待され、早晩落ち着きを取り戻そう。株価が下落する局面は、中長期的な買い場と捉えたい。
(8/3記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
吉利汽車控股(ジーリー・オートモービル・ホールディングス)(香港・00175/Z4005)
◆自主ブランド車のほか、ボルボ・カーズ(親会社の浙江吉利控股集団傘下)と共同でハイエンドブランド「LYNK&CO」を展開中
◆21年12月期は前年比10.3%増収、同12.4%減益。ただ、株式報酬関連のコストを除くと実質9.4%増益
◆新エネ車部門のテコ入れが奏功し、足元の販売比率は17.1%まで上昇(21年は7.5%)。25年までに20モデル以上の新エネ車を投入方針で、販売比率を40%に引き上げる計画。高級EVブランド「極氪(ZEEKR)」の22年7月販売は前月比16.7%増の5022台と過去最多を更新(単月ベース)。販売価格は33万元超と同社全体の平均出荷価格の約4倍。また、百度集団と自動運転分野で提携
(上海駐在員事務所 山藤)
大族激光科技産業集団(ハンズ・レーザー・テクノロジー)(深センA・002008/Z8666)
◆ レーザー加工機の開発・製造・販売を手掛けるほか、ロボット事業も展開。コア部品の内製化に注力。21年、自社開発のファイバーレーザー搭載高出力レーザー加工設備の出荷台数は前年比ほぼ倍増。高出力ファイバーレーザーの内製化率は80%超え
◆22年1~3月期業績は、本拠地深センにおける新型コロナ感染拡大の影響を受けたものの、前年同期比8.3%増収、同0.7%増益と堅調に推移
◆中国は「脱炭素」や「半導体の国産化」などを国策として積極的に推進。同社は、車載用電池産業向け設備の生産能力拡大に取り組んでいるほか、太陽電池や半導体産業向け設備などの研究開発・事業拡大にも注力中
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)