7/11~7/15の中国市場は方向感のない展開となろう。
本土市場は上値の重い展開になりつつある。株価指数が既に、急落前の水準に戻りつつあることに加え、足元で新型コロナ感染者数が増加。上海に隣接する安徽省では7/3に新規感染者数が287人となり、部分的な都市封鎖が実施されている。また、不動産大手世茂集団(00813)が10億ドルの米ドル建て債券に関する支払いができず債務不履行となった。新築住宅販売は最悪期を脱したものの、回復ピッチが遅いこともあり不動産会社の債務問題が再び注目されつつある。
今後は、好悪材料が交錯しそうだ。7/15に発表予定の6月の主要経済指標では、インフラ投資が拡大するとみられ、鉱工業生産は4月の都市封鎖前の伸び率に一段と近付くと見込まれる(5月:前年同月比0.7%増⇒6月Bloomberg市場予想:同4.2%増)。6月の経済指標の改善を受け、4~6月のGDP成長率は前年同期比1%程度の成長と、プラス成長を維持しよう。一方、バイデン米大統領は米国のインフレ抑制のために中国製品に対する追加関税の一部引き下げを近々発表するようだ。ただし、対象製品は100億ドルと小規模になりそうだ。また、ハイテク分野では摩擦が高まる可能性もある。
ハンセン指数は急落前の高値まで1割強あるものの、米中摩擦が高まるようなら、影響は受けやすいであろう。週末の経済指標発表には本土市場も香港市場も素直に反応すると考える。
(7/6記 投資情報部 白岩)
紹介銘柄
香港証券取引所(ホンコン・エクスチェンジ・アンド・クリアリング)(香港・00388/Z2888)
◆香港の証券・先物取引所。過去13年間のうち、IPO調達額で世界首位は7回
◆前年同期の高水準の売買代金からの反動減やIPO市場の低迷などを受け、22年1~3月期は前年同期比31%減益
◆米中双方の規制強化は、香港市場に「漁夫の利」をもたらす。7月に香港のIPOは再び活況に転じている。ストックコネクト経由の取引が拡大する見通し。香港当局はアリババ集団などセカンダリー上場銘柄のストックコネクト対象への追加とストックコネクト対象銘柄の人民元建て取引導入の計画を進めている。「MSCI中国A50コネクト指数」(取引所に収める取引手数料は22年7月から徴収開始)は、22年の下期から業績に寄与する
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
舜宇光学科技(サニー・オプティカル・テクノロジー)(香港・02382/Z4632)
◆中国の光学部品総合メーカー、携帯電話用カメラモジュールのリーディングカンパニー。車載用レンズ分野では世界首位のシェアを誇る
◆同社主要製品の出荷量は21年下期から低迷が続いていた。しかし、景気回復が見込まれることや前年同期の低水準の出荷量からの反動などにより、22年下期の出荷量は回復に向かうと見込まれる
◆今期は1桁台前半の増収にとどまるも、①車載用事業とAR&VR関連事業の高い成長ポテンシャル、②iPhone向けレンズの出荷拡大やアップグレードなどを受け、今後数年間にわたり業績拡大基調は続くと当社では見込んでいる。株価下落によりバリュエーション調整も一段と進み割安感が強まる
(東洋証券亜洲有限公司 キョウ)