16日の香港株式市場でハンセン指数は4営業日ぶりに急反発した。終値は前日比1672.42pt(9.08%)高の20,087.50ptと、14日に割り込んだ心理的な節目の2万台を回復した。中国の新華社通信が16日午後、中国の劉鶴副首相が景気下支えなどの方針を示したと伝えた。中国の景気減速に対する過度な警戒が後退し、急激に買いが集まった。上昇率は世界金融危機で世界的に株式相場が激動していた2008年秋以来、約12年ぶりの大きさとなった。香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」も4営業日ぶりに急反発し、終値は同22.20%高の4,243.39ptと、20年7月の指数算出開始以来で最大の上昇率を記録した。劉副首相が中国企業の米上場について支援の姿勢を示したことが中国ネット株の買い安心感を誘った。香港のメーンボード(東証1部に相当)の売買代金は3097億香港ドルと今年初めて3000億香港ドルを上回った。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで78億7200万香港ドルの買い越しだった。
16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比518ドル76セント(1.5%)高の34,063ドル10セントで終えた。ウクライナとロシアの停戦交渉や中国政府による景気刺激策への期待が強まり、景気敏感株を中心に買いが優勢だった。午後2時に米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を発表すると、利上げ加速を警戒した売りでダウ平均は下げに転じる場面もあったが、売り一巡後は再び買いが優勢となった。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、同487.932pt(3.8%)高の13,436.553ptで終えた。
本日の香港株式市場は堅調な展開が予想される。前日の米国市場での中国株ADR銘柄の急伸を受け、引き続き買戻しの動きが継続しよう。
(マーケット支援部 床井)
続伸か、投資家心理改善
16日の中国・上海株式市場は大幅に反発した。上海総合指数の終値は前日比106.7451pt(3.48%)高の3,170.7103ptと、心理的節目の3,100ptを回復した。中国政府が景気の下支えや米中の会計監査を巡る対立の解決に向けて動いていると伝わり、投資家心理が急速に上向いた。国営の新華社通信が16日、中国の劉鶴副首相が主催する国務院(政府)金融安定発展委員会の会議の内容を伝えた。このところの中国本土株の売り材料となっていた懸念事項に対し、中国政府が対策を講じる方針を改めて示したため、買い安心感につながった。大型株を中心に全面高の展開となった。反面、充電インフラの国電南瑞科技(ナリ・テクノロジー、600406)が大幅安となった。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆1920億元となり、節目の1兆元を超えた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで8200万元の売り越しだった。個別では、国電南瑞科技(ナリ・テクノロジー、600406)、立訊精密工業(ラックスシェア・プレシジョン・インダストリー、002475)、美的集団(ミデア・グループ、000333)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、内蒙古伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリー・インダストリアル、600887)などが売り越しとなった。
本日の中国本土株式市場は続伸か。中国当局の支援期待で投資家心理が改善し、下値を拾う動きが継続しよう。
(マーケット支援部 床井)