12月13日~12月17日の中国株式市場はまちまちの展開か。中国政府の景気下支え姿勢を背景に本土市場は徐々に上値を試す展開を想定する一方で、香港市場は、米中対立への警戒感もあり外部環境の影響を受けながらのもみあい展開を想定する。
習近平指導部は10日、2022年の経済運営方針を決める「中央経済工作会議」を終えたと伝わった。22年の方針は、習指導部の3期目入りを決める党大会を来秋に控えていることもあり、景気への配慮が目立つ内容となったようだ。マクロ政策では、積極的な財政政策と緩和的な金融政策を継続し、財政では新たな減税やコスト削減策を実施するとした。減税の内容は明らかにしていないが、コスト高で収益が悪化する中小零細企業などを支援するとした。財政支出の進捗を早めて、インフラ投資を前倒しすることで、早期に需要を作り出す方針も盛り込んだことに加え、投機抑制を狙った不動産規制の骨格は変えないものの、住むために買う実需が満たされるよう部分的に修正する方針も示した。格差是正をうたった「共同富裕」にも言及し、成長と分配のバランスを重視する姿勢を示した。22年の経済成長目標の公表はなかったが、政府系主要シンクタンクである社会科学院は来年の成長率を5.3%程度と予想し、成長率目標を5.0%以上に設定するよう政府に提言した(10~12月GDP成長率の市場見通し〈Bloomberg〉は前年同期比+3.1%)。6日には0.5%ptの預金準備率引き下げも発表(15日から実施)されており、景気の先行きに不透明感が高まっていた中、政府が景気の下支えを目指す姿勢を見せたことは、安心材料と捉えられよう。
15日に11月の主要経済指標が発表される予定。政府が既に住宅取引規制の緩和を始めていたこと等から、大幅な下振れの可能性は低いとみる。また、仮に指標が下振れたとしても、本土市場は景気の回復期待と金融緩和期待からしっかりとした地合いを継続しよう。一方、香港市場については米中対立への警戒が高まりやすい状況か。12月19日に香港の立法会の議員選挙が予定されており、海外投資家中心に心理的な手控え材料となる可能性には注意したい。
(マーケット支援部 井上)
今週の主なスケジュール
15日
11月の中国鉱工業生産、同小売売上高、1~11月の都市部固定資産投資(午前11時、国家統計局)
19日
香港立法会(議会)選挙