30日の香港株式市場は4営業日ぶりに反発。ハンセン指数の終値は前週末比131.65pt(0.51%)高の25,539.54ptだった。前週末の米ハイテク株高を受け、香港市場では足元で下げていたネット株に買いが入った。もっとも、中国当局の規制強化に対する根強い懸念から上値が重く、指数は下げる場面もあった。ハイテク関連銘柄で構成するハンセンテック指数は反発し、同1.08%高だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで41億7100万香港ドルの売り越し。香港メーンボードの売買代金は1365億香港ドルと、前週末比6%増だった。
30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反落した。前週末比55ドル96セント(0.2%)安の35,399ドル84セントで終えた。景気敏感株の一角に目先の利益を確定する目的の売りが優勢だった。米長期金利の低下を受けて金融株が売られた一方、高PERのハイテク株は上昇し、指数を下支えした。債券市場では、長期金利が前週末比0.04%低い(価格は高い)1.27%まで低下する場面があった。利ざや悪化の警戒から金融株の下げが目立った。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、前週末比136.389pt(0.9%)高の15,265.890と、連日で過去最高値を更新した。
31日の香港株式市場でハンセン指数は上値の重い展開か。30日の米ダウ工業株30種平均が下げた流れを受け、香港市場も売り先行のスタートとなろう。中国人民銀行(人民銀)が明日9月1日から「非銀行決済機構重大事項報告管理弁法」を施行する。同弁法は決済市場の安定性を維持することを目的とし、重大事項の事前・事後報告を求めるもので、重大事項に該当する内容として、IPOや増資のほか新しい決済商品やサービス、海外企業などと協力した国際決済サービスの提供などが挙げられている。報告にとどまるとはいえ、実質的に人民銀が決済サービス会社の経営に深く関与できる内容となっており、市場では、これまでのような革新的な決済サービスが生まれにくくなる可能性を指摘する向きもあるようだ。アリペイを運営するアントやウィーチャットペイを運営するテンセント(00700)にとっては強い逆風となるとみられ、改めて、当局の規制に対する懸念が上値を抑える展開となりそうだ。経済指標では、日本時間10:00中国の8月製造業・非製造業PMIの発表が予定。市場では製造業、非製造業ともに前回からの低下(製造業PMI:50.4⇒50.2、非製造業OMI:53.3⇒52.0)が見込まれている。
(マーケット支援部 井上)
好業績銘柄中心にしっかりとした動きを想定
30日の中国・上海株式市場は続伸した。上海総合指数の終値は前週末比5.9945pt(0.17%)高の3,528.1512ptだった。規制強化への懸念から弱含む場面もあったが、好業績を発表した銘柄を中心に買いが入り、指数を押し上げた。中国当局の景気対策への期待も相場を支えた。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆5782億元と、前週末から2割近く増え、約1年1カ月ぶりの多さになった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで18億8700万元の買い越し。個別では、隆基緑能科技(ロンジ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、歌爾(ゴーテック、002241)などが買い越しとなり、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)、宜賓五糧液(ウーリィアンエー・イービン、000858)などが売り越しとなった。
31日の中国本土市場は小確りの展開を想定。取引開始前に発表されるPMIの内容をうけてのスタートとなるが、本土市場では中国の景気テコ入れ策に対する期待感が相場を支える流れが出来つつあるようで、特に大きな波乱はないと思われる。好業績銘柄中心にしっかりとした動きになりそうだ。
(マーケット支援部 井上)