30日の香港株式市場でハンセン指数は3日続伸。終値は前日比239.20pt(0.84%)高の28,577.50ptと、22日以来ほぼ1週間ぶりの高値を回復した。前日の米国市場でのダウ工業株30種平均の最高値更新を受け、米国で新型コロナワクチンが普及すれば香港を含む世界景気が回復するとの期待が強まった。中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は30日、香港の選挙制度見直し案を可決したが、株式市場での反応は限られた。香港上場のハイテク関連銘柄で構成する「ハンセンテック指数」の終値は前日比2.49%高の8,180.32ptと約1週間ぶりの高値を回復した。香港のメーンボード(東証1部に相当)の売買代金は1692億香港ドルと、前日(1903億香港ドル)から1割強減った。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで32億5600万香港ドルの買い越しだった。
30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比104ドル41セント(0.3%)安の33,066ドル96セントで終えた。前日まで連日で過去最高値を更新しており、高値警戒感から目先の利益を確定する売りが優勢だった。米長期金利が一時、1年2カ月ぶりの水準に上昇し、割高感が警戒されやすい高PER(株価収益率)の主力ハイテク株が売られた。ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、前日比14.253pt(0.1%)安の13,045.394ptで終えた。
31日の香港市場でハンセン指数は方向感に乏しい展開を想定。前日の米株式相場の下落や米長期金利の上昇を受け、ハイテク株を中心に売られやすい展開となりそうだ。米国では31日にバイデン大統領が3兆ドルともされるインフラ投資の詳細を発表する見通しとなっている。詳細発表と同時に財源についても説明する見通しだが、大半は増税でまかなうとされる一方で財源の一部は国債増発に頼らざるを得ないとの指摘もあり、米長期金利の動向への警戒が根強い状況は続きそうだ。景気敏感株には買いも見込まれることから、下値も限定的と思われるものの、内容を見極めたいとする向きは多いと思われる。経済指標では、日本時間10:00に中国の3月製造業・非製造業PMIが発表される予定。市場では、両PMIともに前月からの改善(製造業PMI:前月50.6→予想51.2、非製造業PMI:前月51.4→予想52.0)が見込まれている。
(マーケット支援部 井上)
PMIの改善が確認できれば、景気回復期待が持続する流れは継続しよう
30日の中国・上海株式相場は3日続伸した。上海総合指数の終値は前日比21.3808pt(0.62%)高の3,456.6766ptと、18日以来、約2週間ぶりの高値となった。白酒の貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)などが3日続伸するなど、これまで売り込まれていた高PER(株価収益率)銘柄への買い戻しが続き、相場の底入れが近いとの期待につながった。上海と深センの売買代金は合計で7493億元。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで38億700万元の買い越し。個別では、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)、中国旅遊集団中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが買い越しとなり、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)などが売り越しとなった。
31日の中国本土市場は小確りの展開を想定。取引開始前に発表されるPMIの改善が確認できれば、景気回復期待が持続する流れが続きそうだ。
尚、清明節に絡む連休に伴う現地取引ルールで、ストックコネクト・ノースバウンド取引は明日(1日)から6日まで取引停止となる。
(マーケット支援部 井上)