23日の香港市場は反発。ハンセン指数は前日比312.81pt(1.03%)高の30632.64ptで取引を終了した。経済正常化の期待が相場を支える流れとなった。新型コロナウイルスを巡っては、中国全土で感染リスクレベル「中」「高」の地域がゼロとなったほか、中国本土に続き、マカオでは22日に一般市民の接種が始まり、香港では医療従事者などの優先接種が26日に始まる予定が伝わるなど、ワクチン接種が順調に進む見通しであることが好感された。米国や英国など主要国でも、新規感染者が減少傾向をたどっており、行動規制も徐々に緩和される状況だ。前日の米ハイテク株安などを嫌気した売りが先行する場面も見られたものの、下値は堅く、ハンセン指数はほどなくプラスに転じた。中国の金融セクターが相場をけん引。香港に拠点を置く銘柄群も高かったほか、経済活動正常化を見越し、旅行やカジノなどレジャー関連も物色された。一方で、ITやハイテクで構成されるハンセンテック指数は前日比1.1%安と4日続落となった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで77億6100万香港ドルの買い越しだった。
23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に3日続伸し、前日比15ドル66セント高の31,537ドル35セントで取引を終えた。米長期金利の上昇基調を受け、高PER(株価収益率)銘柄が多いハイテク株を中心に売りが先行。ダウ平均は一時前日比362ドル安、ハイテク株が多いナスダック総合株価指数は同529.067pt安まで下げる場面があった。ただ、23日午前の議会証言で米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が金融緩和の長期化を改めて示唆し、金利上昇への過度な懸念が和らぎ、ダウ平均は上げに転じ、ナスダック指数は同67.850pt(0.5%)安の13,465.198まで下げ渋って終えた。
24日の香港市場で、ハンセン指数は一進一退の展開か。米長期金利の高止まりで、高PER(株価収益率)銘柄が多い米ハイテク株の調整色が強まっており、香港市場でも関連銘柄に売りが出やすい状況となりそうだ。一方、金融緩和が長期間続くとの観測も根強く、下値では押し目買いが入り下げ幅は限定か。金利高がプラス材料となるセクターや経済活動正常化を見越した銘柄の循環物色が進んでおり、下値は堅い動きとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
新型コロナウイルス感染の落ち着きや経済政策に対する期待感が支えとなろう
23日の中国本土株式市場で、上海総合指数は続落。終値は前日比0.17%安の3636.36ptだった。深セン成分指数は同0.61%安の15,243.25ptと続落した。上海、深セン両市場の売買代金は概算で1兆215億3300万元だった。上海総合指数は安く寄り付いたものの切り返し、中盤はおおむね高く推移。中国景気の拡大見通しを背景に金利の先高観が広がり、金融株が買われて相場を押し上げた。ただ、前日に続いて割高感が強まった銘柄の売りが重荷となり、指数は終盤にかけ再びマイナス圏に沈んで引けた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで6億5100万元の買い越し。個別では、三一重工(サニー・ヘビー・インダストリー、600031)、万華化学(ワンファ・ケミカル、600309)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(ウーリャンイェー・イービン、000858)、貴州茅台酒(グイジョウ・マオタイ、600519)、中国中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)などが売り越しとなった。
24日の中国本土市場はもみ合いか。上海総合指数が約5年半ぶりの高値水準にあることで、足もと上昇していた銘柄への利益確定売りは継続しそうだが、新型コロナウイルス感染が中国のほか主要国で落ち着きつつあることや、中国の経済政策に対する期待感が支えとなろう。中国では来週3月5日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が開幕する予定となっている。
(マーケット支援部 井上)