5日の香港株式市場でハンセン指数は5日続伸。終値は前日比177.05pt(0.64%)高の27,649.86ptと、2020年2月19日以来約10カ月半ぶりの高値となった。朝方は新型コロナウイルスの世界での感染拡大を嫌気し売りが先行したが、取引時間中にニューヨーク証券取引所(NYSE)が中国通信3社の上場廃止措置を撤回すると発表し、米国による対中制裁への懸念が後退。投資家心理が上向いた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで107億4300万香港ドルの買い越しだった。
5日の米株式市場は反発。ダウ工業株30種平均は前日比167ドル71セント(0.6%)高の30,391ドル60セントで取引を終えた。堅調な米経済指標を受け、前日に下げが目立った景気敏感株を中心に押し目買いが入った。また、5日に投票日を迎えたジョージア州の上院決選投票の直前の世論調査で、共和党候補が盛り返したことが買いを誘っているとの声もあった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、前日比120.513ポイント(0.9%)高の12,818.960ptで終えた。
本日の香港市場でハンセン指数は軟調な展開か。ニューヨーク証券取引所(NYSE)は中国の大手国有通信会社3社の上場廃止方針を撤回したものの、ムニューシン米財務長官から異議を伝えられた後、当初の方針に戻ることを検討していると伝わっており、香港市場は関連銘柄等を中心に持ち高を調整する売りに押される展開となりそうだ。NYSEの方針が二転三転したことに加え、米財務省外国資産管理局(OFAC)の発表文が上場廃止時期や対象企業を明示にしていなかったため、米証券会社や資産運用会社は困惑し、世界のトレーダーの間には不安が広がっているもよう。昨年末から堅調展開が続いていた香港市場だが、報道を受け様子見ムードが強まる可能性は留意しておきたい。
(マーケット支援部 井上)
利益確定売り優勢の展開か
5日の中国・上海株式市場は4日続伸。上海総合指数の終値は前日比25.7183pt(0.73%)高の3,528.6767ptと、2018年1月26日以来約2年11カ月ぶりの高値を付けた。豚肉価格の上昇や春節(旧正月)に向けて酒類の需要が高まるとの期待などを背景に、消費関連株が買われた。酒造の貴州茅台酒が連日で上場来高値を更新し、相場を押し上げた。上海と深セン市場の売買代金は合計で1兆2664億元と、前日から約9%増え、節目の1兆元を連日で上回った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで44億4400万元の売り越し。個別では、京東方科技((BOEテクノロジー・グループ、000725)、中国中免(チャイナ・ツーリズム・グループ・デューティー・フリー、601888)、伊利実業集団(インナー・モンゴリア・イーリ・インダストリアル、600887)などが買い越しとなり、ハイクビジョン(002415)、江蘇恒瑞医薬(ジァンスー・ヘンルイ・メディシン、600276)、隆基緑能科技(ロンギ・グリーン・エナジー・テクノロジー、601012)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は利益確定売り優勢の展開か。第14次五カ年計画(2021~25年)の初年度を迎えるなか、中国当局が打ち出す経済支援策に対する期待感が高まっており、政策で恩恵を受けやすい銘柄を物色する動きが継続しよう。一方で、NYSEの方針再転換が伝わっており、内容を見極めたいといった動きも広がりそうだ。
(マーケット支援部 井上)