25日の香港株式市場でハンセン指数は小幅続落。終値は前日比75.65pt安の23,235.42ptと、5月下旬以来約4カ月ぶりの安値を付けた。朝方は前日の米株高を手がかりに買いが入ったが、この日の中国本土市場でハイテク株が売られると地合いが悪化し、香港市場でもハイテク大手を中心に売りが出た。ハイテク関連株で構成する「ハンセンテック指数」は続落し、終値は前日比1.92%安の6918.77ptだった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで8億8200万香港ドルの買い越しだった。
25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比358ドル52セント高の27,173ドル96セントで取引を終えた。朝方は売りが先行したが、主力ハイテク株の上昇が市場心理の支えとなり、昼前に上げに転じた。景気敏感株の一角にも買いが入り、取引終了にかけて上げ幅を広げた。9月に入ってから調整局面が続く主力ハイテク株は前日に続いて上昇。ナスダック総合株価指数は、前日比241.30pt高の10,913.56ptで取引を終えた。
本日の香港市場でハンセン指数は自律反発が期待されるも上値の重い展開は継続か。前週末の米株式市場の上昇が投資家心理の支えとなりそうな一方で、米中対立への警戒感が上値を抑えそうだ。英フィナンシャル・タイムズ(FT)など複数の欧米メディアは「米商務省が中国半導体受託生産の中芯国際集成電路製造(SMIC,00981)に米国企業などが特定製品を輸出する場合に、事前に同省の許可を得るように求めていることが26日、分かった」と報じた。9月上旬には米国防総省が安全保障上問題のある企業が入る「エンティティー・リスト」にSMICを追加するかどうか議論していることが判明していたものの、輸出規制実現となるとその影響は大きいと思われる。今後の中国政府の対応含め、動向を見極めたいといったムードが強まりそうで、関連銘柄の買い控えにつながりそうだ。今週は、9月30日に中国9月製造業・非製造業PMI、同財新製造業PMIが発表される予定。また、10月1日は国慶節、2日は中秋節の翌日で休場となる。
(マーケット支援部 井上)
方向感に乏しい展開か。大型連休控え、様子見ムードが徐々に強まりそう
25日の中国本土株式市場は小幅に続落。上海総合指数の終値は前日比3.7585pt安の3,219.4179pt、深セン成分指数の終値は同2.433pt安の12,814.173ptとなり、上海総合指数は約2カ月ぶりの安値を付けた。値ごろ感を意識した買いも入り、指数は上昇に転じる場面もあったが、週末や来週後半からの大型連休を控えて、持ち高調整の売りが優勢だった。上海と深セン市場の売買代金は合計で5693億元と、5月下旬以来約4カ月ぶりの低水準だった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで12億9100万元の売り越し。個別では、中国中免(601888)、江蘇恒瑞医薬(600276)、万華化学(600309)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(000858)、ラックスシェア(002475)、格力電器(000651)、東方雨虹(002271)、貴州茅台酒(600519)、長江電力(600900)、伊利実業集団(600887)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は方向感に乏しい展開か。指数が安値圏にあることで、企業業績の改善期待や値ごろ感を意識した買いが支えとなりそうな一方で、週後半からの大型連休を控えての持ち高調整の売りや米中対立への警戒感が上値を抑えよう。中国国家統計局が27日発表した8月の工業利益は前年同月比19.1%増(7月は同19.6%増)と、4カ月連続の増加となった。新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)の解除後、工業生産の回復の勢いが維持されていることが示された格好となっており、企業業績の改善期待は支えとなろう。一方で、週末報じられたSMICなどを巡る米中対立への警戒感は上値抑制要因として意識されよう。ストックコネクトを通じた海外投資家の売買動向は売り越しが続いていることに加え、週末からの大型連休もあり、今週は徐々に様子見ムードが強まる週となりそうだ。
(マーケット支援部 井上)