17日の香港株式市場は続落。ハンセン指数の終値は、前日比384.78pt安の24,340.85ptと、10日以来の安値だった。16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見を受けて、米国の緩和強化への期待が後退。アジア時間17日の先物取引で米ダウ工業株30種平均先物が2%弱下げる場面もあり、香港市場にも売りが波及した。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで16億5600万香港ドルの買い越しだった。
17日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比130ドル40セント安の27,901ドル98セントで取引を終えた。FOMCを16日に通過し、それまで様子見を続けていた投資家が相対的に割高感が強い主力ハイテク株に売りを出した。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落。前日比140.19pt安の10,910.28で取引を終えた。
本日の香港市場でハンセン指数は安値圏のもみ合いか。前日の米株式市場が軟調展開だったことを受け、売り先行のスタートが予想される。時間外の米先物取引の動向を睨みつつ、ハンセン指数は8月7日の安値24,167ptを維持できるかがポイントとなろう。中国・北京字節跳動科技(バイトダンス)傘下の短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米事業を巡る提携案で、米ソフトウエア大手オラクルなど米企業が同事業の少なくとも60%の株式を取得する見通しと新たに誕生する新会社が米国上場を計画していると伝わった。まだ、観測段階ではあるものの、バイトダンスは国内事業を香港か上海市場へ上場させる計画も伝わっていたこともあり、その動向は市場関係者の気になるところとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
方向感に乏しい展開か
17日の中国株式市場で主要株価指数はまちまちの展開。上海総合指数の終値は前日比13.4894pt安の3,270.435pt、深セン成分指数の終値は同3.908pt高の13,015.189ptだった。米国が量的緩和の強化に消極的とみられるなか、中国でも金融緩和の継続は期待しにくいとの観測が強まった。政策期待が後退し、金融株などオールドエコノミーの主力銘柄に売りが優勢となった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで4億3900万元の買い越し。個別では、宜賓五糧液(000858)、格力電器(000651)、伊利実業集団(600887)、三一重工(600031)などが買い越しとなり、ラックスシェア(002475)、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)、中国中免(601888)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場は方向感に乏しい展開か。昨日は、李克強首相が15日に北京市で開いた世界経済フォーラムで2020年のプラス成長見通しを示すなど、中国国内経済の回復傾向が意識されたことが、むしろ政策期待の後退につながり、株式市場の上値を抑える要因のひとつとなったようだ。政策期待を材料に買い上げる動きが一巡したとも捉えられることから、全体相場は今後新たな材料を模索する流れとなりそうだ。昨日はストックコネクトを通じた貴州茅台酒(600519)の売り越し額が21億元となった。同社親会社の「中国貴州茅台酒廠」(貴州茅台酒に58%出資)が150億元を起債し、調達資金で「貴州高速公路集団」の株式取得、債務返済、運転資金に充てると伝わったことが、海外投資家にとって警戒材料として捉えられた面もあったと思われる。個別銘柄の材料に敏感に反応する地合いとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)