8日の香港株式市場は5営業日ぶりに反発。ハンセン指数の終値は前日比34.69pt高の24,624.34ptだった。7日の欧州株式相場が上昇し、投資家心理が改善。香港政府が8日、新型コロナウイルスで強化していた外食時などの人数規制を緩和すると発表し、域内景気回復への期待が高まったことも相場を支えた。半面、米中のハイテク分野を巡る対立への懸念は根強く、このところ上げが目立っていたハイテク株には売りが出て上値を抑えた。ハイテク関連の30銘柄で構成するハンセンテック指数は4日続落し、前日比1.6%安。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで18億4700万香港ドルの売り越しだった。
8日の米株式市場は3日営業日続落となり、ダウ工業株30種平均は前週末比632ドル42セント安の27,500ドル89セントと、約1カ月ぶりの安値で取引を終えた。スマートフォンのアップルなど主要ハイテク株への売りが続いたほか、素材や金融など景気敏感株の一角にも売りが広がった。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は同465.44pt安の10,847.69ptで取引を終え、2日に付けた過去最高値からの下落率は10%に達した。
本日の香港市場でハンセン指数は反落か。米国市場がナスダック市場を中心に大幅な調整となっており、香港市場の重荷となろう。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は高値からの下落率が「調整局面入り」とされる10%に達しており、香港市場でも、半導体関連などを中心にハイテク株は売り優勢の展開となりそうだ。また、原油先物相場の動向も気がかりなところ。8日の米国市場では、WTI原油先物10月物が一時1バレル36ドル台前半と、期近物としては3カ月ぶりの安値を付けた。新型コロナによる需要低迷が改めて意識されており、原油安が投資家心理の重荷となる場面もありそうだ。本日は日本時間10時半に中国の8月物価統計が発表される予定。市場では、消費者物価指数(CPI)が前年比2.4%増(前月は同2.7%増)、生産者物価指数(PPI)が同1.9%減(前月は同2.4%減)と予想されている。
(マーケット支援部 井上)
もみ合いか。アップルがイベント開催で関連銘柄に注目が集まる場面も
8日の中国株式相場は反発。上海総合指数の終値は前日比23.8263pt高の3,316.417pt、深セン成分指数の終値は同9.297pt高の13,293.33ptだった。ストックコネクトを通じた海外からの中国本土株への投資が買い越しとなり、午後に上昇に転じた。ハイテク分野などを巡る米中対立激化への警戒は根強いものの、上海総合指数は7日までの4営業日で3.5%下げており、値ごろ感からの買いが次第に優勢になった。ストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで63億5100万元の買い越し。個別では、宜賓五糧液(000858)、ラックスシェア(002475)、順豊HD(002352)、貴州茅台酒(600519)、伊利実業集団(600887)、江蘇恒瑞医薬(600276)、興業銀行(601166)などが買い越しとなり、格力電器(000651)、京東方科技(000725)、中国中免(601888)、海天調味食品(603288)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場はもみ合いか。米国市場の軟調展開や米中対立への警戒感から上値は重いと思われるものの、昨日に続き値ごろ感からの買いが支えとなろう。米アップルは、オンラインイベントを15日に開催すると明らかにした。イベントでは複数機種の新型iPhoneや腕時計型端末「Apple Watch(アップルウオッチ)」の新機種などを発表すると見込まれている。関連銘柄に注目が集まる場面もありそうだ。
(マーケット支援部 井上)