11日の香港株式市場は4営業日ぶりに反発した。ハンセン指数の終値は前日比513.25pt高の24,890.68ptだった。指数は前日に約1カ月半ぶりの低水準になっており、値ごろ感を意識した買いが入った。米国による制裁への警戒から連日売られていた中国ネットサービスの騰訊控股(テンセント、00700)が反発し、安心感が広がった。香港の新型コロナウイルスの新規感染者の減少も投資家心理を支えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで5億3200万香港ドルの買い越しだった。
11日の米株式市場ダウ工業株30種平均は8営業日ぶりに反落。前日比104ドル53セント安の27,686ドル91セントで取引を終えた。ワクチン普及で世界経済が正常化に向かうとの期待から買いが先行した。ただ、スマートフォンのアップルなど主力ハイテク株を中心に利益確定売りが加速して午後に伸び悩み、下げに転じて終えた。米長期金利が約1カ月ぶりの水準に上昇し、ハイテク株を中心に利益確定売りにつながったとの見方もあった。
12日の香港株式市場でハンセン指数は反落か。前日の米株安を受け朝方は売り先行で始まりそうだ。トランプ米大統領が10日の右派メディアとのインタビューで、中国との貿易交渉について、「対中第2段階合意、最も考えない」と発言したと伝わっており、15日に予定される米中貿易ハイレベル協議を控え、警戒感も強まりやすい処と思われる。ハンセン指数はPBR(株価純資産倍率)基準で1999年のアジア金融危機以降で最も割安な水準にあり、ここからの大きな下げは想定しづらいものの、政治的な不透明感が上値を抑えそうだ。本日は、テンセント(00700)の2020年中間決算の発表が予定されている。
(マーケット支援部 井上)
弱含みの展開を想定。高値警戒感から利益確定売りが優勢となりそう
11日の中国本土株式市場は反落した。上海総合指数の終値は前日に比べ38.9624pt安の3,340.29pt、深セン成分指数の終値は同191.046pt安の13,466.267ptだった。ハイテク分野などを巡る米中対立激化への警戒が根強く、大引けにかけて目先の利益を確定する売りに押された。中国景気の回復期待から指数は節目の3,400ptを上回り0.9%高まで上げる場面もあったが、高値警戒感から売り優勢となった。上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」の50銘柄で構成する「上証科創板50成分指数」が大幅に反落し、2.84%安で終えるなど、ハイテク株への売りが目立った一方で、銀行や電力、酒造、造船の一角や国内旅行の回復期待から空運や旅行株の上げが目立った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで39億4900万元の買い越し。個別では、ラックスシェア(002475)、宜賓五糧液(000858)、ハイクビジョン(002415)、貴州茅台酒(600519)、中国中免(601888)、伊利実業集団(600887)、興業銀行(601166)などが買い越しとなり、歌爾(002241)、格力電器(000651)、江蘇恒瑞医薬(600276)などが売り越しとなった。
12日の中国本株式土市場は弱含みの展開を想定。高値警戒感から利益確定売りが優勢となりそう。昨日取引終了後に発表された中国の7月金融統計では、新規人民元建て融資やM2の伸び率などが、総じて前月および市場予想を下回る内容となった。金融政策が出口戦略に向かっていると捉えられれば、市場の上値抑制要因となる可能性は留意しておきたい。
(マーケット支援部 井上)