週明け10日の香港株式市場で、ハンセン指数は3営業日続落。終値は前営業日比154.19pt安の24,377.43ptだった。ハンセン指数は終日ほぼマイナス圏で軟調に推移した。テクノロジー産業を巡る米中対立の激化が懸念され、相場の重しとなった。午前に発表された中国の7月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)はいずれも市場予想より良い結果となったが、影響は限定的だった。本土市場の上昇を受けて、中盤には指数が一時前週末の終値付近まで戻す場面もみられたものの、再び下げ幅を拡大し、6月29日以来、約1カ月半ぶり安値で取引を終えた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで27億100万香港ドルの買い越しだった。
10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は7日続伸し、前週末比357ドル96セント高の27,791ドル44セントと約5カ月半ぶりの高値で終えた。トランプ米大統領が8日に失業給付の増額を含む追加の経済対策の大統領令を発動し、目先の米景気懸念が後退した。業績が景気に左右されやすい金融、エネルギーなど景気敏感株が買われた。
今週の香港市場は上値の重い展開か。米株高やバリュエーション面での割安感を背景に自律反発狙いの買いに期待したいところだが、米中対立激化懸念が上値を抑えよう。香港政府による民主派への締め付けが一段と強まっており、政治的な不透明感が先行き懸念を強めそうだ。
(マーケット支援部 井上)
今週はイベント続きで、上下に振れやすい展開を予想
週明け10日の中国本土株式市場で、上海総合指数は反発。終値は前営業日比25.2172pt高の3,379.2524ptだった。深セン成分指数は同8.814pt高の13,657.313ptと小幅ながら反発した。上海、深セン両市場の売買代金は概算で1兆1576億元だった。上海総合指数は小安く寄り付き、前場は前週末終値を挟んで一進一退の展開。前週末は高値警戒感から6営業日ぶりに反落したものの、中期的な先高観が相場を押し上げた。市場では「ハイテク株を中心に押し目買いの好機」との声が出た。後場に入って上げ幅を広げ、一時は心理的節目の3400ポイントに迫った。ただ米中関係の悪化に対する警戒感は根強く、大引けにかけて上昇率がやや縮小した。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで800万元の買い越しだった。個別では、歌爾(002241)、中国中免(601888)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(000858)、ラックスシェア(002475)、格力電器(000651)、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)、伊利実業集団(600887)などが売り越しとなった。
今週の中国市場は、イベントに影響され株価が上下に振れやすい展開か。8/5前に始まったとみられる北戴河の長老会議では、対米政策等が議論されているとみられ、市場は緊張感をもって結果を受け止めよう。8/14には7月の主要経済指標が発表される予定。自動車販売が前年比15%増になるなど、消費は持ち直しが期待される一方で、長江流域の洪水被害が約1444億元(約2.2兆円)と見込まれるなど、一部経済指標が下振れる可能性には注意が必要か。また、週末8/15に予定される米中貿易ハイレベル協議は話し合い継続という点では評価されるが、厳しい議論になることが予想される。イベント続きで、株式市場は上にも下にも行きやすい展開となりそうだ。政府は「国内大循環」(内需主導経済)を唱え、消費拡大に注力の見通し。業績の裏付けのある消費関連株等が8月後半の決算発表前に注目されよう。
(マーケット支援部 井上)