10日の香港株式相場は3日ぶりに反落。ハンセン指数の終値は前日比482.75pt安の25,727.41ptだった。中国・上海株式相場の下落を受けリスク選好ムードが一服し、これまでの上昇が大きかった銘柄を中心に利益確定売りが優勢となった。「香港国家安全維持法」の施行を巡る米国の金融制裁に対する警戒感も重荷だった。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで28億2900万香港ドルの買い越しだった。
10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比369ドル21セント高の26,075ドル30セントで取引を終えた。新型コロナウイルスの治療薬やワクチンの研究開発の進展を示す発表や報道が相次ぎ、投資家心理が改善した。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、同69.69pt高の10,617.44ptと3日続けて過去最高値を更新した。
今週の香港市場は利益確定売りをこなしながらしっかりの展開を想定する。16日に中国4-6月期のGDP成長率が発表される予定。Bloombergによる市場予想は前年同期比2.2%増と、2四半期ぶりのプラス転換が見込まれている。同日には6月の鉱工業生産や小売売上高などの発表も予定されており、予想よりも良好な結果が相次げば、投資家心理を上向かせそうだ。香港では、7月8日に予定されていた本土からの入境者に対する規制措置撤廃が8月8日へ延期された。新型肺炎患者が足元で増加しているため、更に延期される可能性があり、香港景気の回復は遅れよう。ただし、香港市場は株価の回復が遅れていただけに、割安感から外国人投資家の買いが期待できよう。
(マーケット支援部 井上)
もみ合いか。一時的な利食い売りに押される可能性も基本的には堅調な動きを想定
10日の中国本土株式市場は9日ぶりに反落。上海総合指数の終値は前日比67.2713pt安の3,383.3222pt、深セン成分指数の終値は同83.499pt安の13,671.244ptだった。上海総合指数は前日まで8日続伸で17%近く上げており、10日は短期的な過熱を警戒した売りが優勢となった。年金基金や政府系ファンドによる保有株圧縮が広がる可能性が警戒され、金融株などが目先の利益を確定する売りに押された一方で、白酒大手の貴州茅台酒(600519)など酒造が総じて高く、小売りや医薬の一角が買われた。ベンチャー企業向け市場の「創業板」指数は7日続伸し0.75%高の2,778.456ptと、連日の年初来高値更新。売買代金は上海と深センの合計で1兆6000億元を超え、5日連続で1兆5000億元を上回った。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで43億9300万元の売り越しだった。個別では、格力電器(000651)、ラックスシェア(002475)、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)、伊利実業集団(600887)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(000858)、歌爾(002241)、中国中免(601888)などが売り越しとなった。
今週の中国本土市場はもみ合いか。7月6日の中国証券報(政府系の証券新聞)は「新型肺炎後の世界で、中国株式市場の更なる上昇が必要」との認識を示した。主要株価指数は急速な上昇した後だけに今週は一時的に利食い売りに押される場面があるかもしれないが、基本的には堅調な動きが期待できると予想する。16日発表予定の中国の主要経済指標が予想よりも良好な結果となれば、投資家心理を上向かせそうだ。
(マーケット支援部 井上)