29日の香港株式相場は3日続落。ハンセン指数の終値は前日に比べ171.29pt(0.74%)安の22961.47ptとなった。トランプ米大統領が米国時間29日に、対中政策に関する会見を行うと伝わり、米中対立が激化することへの警戒から、投資家が運用リスクを回避する動きを強めた。一方、中国人民銀行(中央銀行)が29日、中国本土の金融市場で多めの資金供給をしたことは相場の支えとなり、ハンセン指数は朝方の売り一巡後は下げ幅を縮めた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで11億4100万香港ドルの買い越しだった。
29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続落し、前日比17ドル53セント(0.1%)安の25383ドル11セントで取引を終えた。米中対立への懸念から売りが膨らみ、下げ幅は300ドルを超える場面があったが、トランプ米大統領が午後に発表した制裁措置が警戒されていたほど厳しくなかったとの見方からダウ平均は下げ幅を縮小して終えた。
本日の香港市場は堅調な展開か。注目されたトランプ米大統領の演説は、香港の優遇措置の見直しについては言及があったものの、市場が警戒していた中国との貿易合意の破棄や中国企業への追加制裁などについてはふれられなかった。米国市場では、テンセントADRやアリババ集団ADRが上昇しており、香港市場でも安心感につながろう。31日に発表された中国の5月製造業PMIは前月比0.2pt低い50.6となったものの、非製造業PMIは同0.4pt高い53.6となり3カ月連続で上昇し、全体の景況感を表すコンポジットPMIは53.4と前月と同水準となった。小売りや飲食などサービス業のPMIの伸びは限定的となったものの、建設業のPMIは大幅に改善しており、景気対策でインフラ工事が拡大した恩恵が及んでいる様子が見て取れる。買い戻しが先行する動きとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
しっかりの展開か
29日の中国株式相場は小幅に続伸。上海総合指数の終値は前日比6.1295pt(0.21%)高の2852.3512pt、深セン成分指数の終値は同92.584pt(0.86%)高の10746.076ptだった。中国人民銀行の資金供給姿勢を受け、潤沢な資金が株式市場に向かうとの見方から、収益の回復が期待される銘柄を中心に買いが優勢となった。李克強首相は28日の記者会見で個人消費の向上や住民収入の改善に力を入れると強調。業績改善期待から、貴州茅台酒などの酒造株や絶味食品などの食品株、小売りや観光関連株が買われた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで51億700万元の買い越し。個別では、順豊HD(002352)、ラックスシェア(002475)、貴州茅台酒(600519)、江蘇恒瑞医薬(600276)、上海国際機場(600009)、長江電力(600900)などが買い越しとなり、宜賓五糧液(000858)、格力電器(000651)、中国国旅(601888)、興業銀行(601166)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場はしっかりの展開か。政策関連銘柄を個別物色する動きとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)