28日の香港株式相場は続落。ハンセン指数の終値は前日比168.60pt(0.72%)安の23132.76ptだった。中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は28日午後、香港で反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針を採択した。トランプ米政権は香港の経済的な優遇措置の見直しなどを示唆しており、米中対立の激化を警戒した売りが出た。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで15億4900万香港ドルの売り越しだった。
28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落し、前日比147ドル63セント(0.6%)安の25400ドル64セントで終えた。午後にトランプ米大統領が29日に対中政策に関する会見をすると伝わった。米中対立が激しくなり、世界経済の減速につながるとの懸念から取引終了にかけて売りが優勢となった。
本日の香港市場は上値の重い展開を想定。昨日の全人代における「香港国家安全法」の制定方針採択を受け、トランプ米大統領は本日米国時間で記者会見を開くとみられることから、米中対立激化への懸念が上値を抑えそうだ。
(マーケット支援部 井上)
神経質な展開を想定。政策関連を個別物色する動きとなりそう
28日の中国本土株式相場は小反発。上海総合指数の終値は前日比9.4181pt(0.33%)高の2846.2217pt、深セン成分指数の終値は同29.205pt(0.27%)安の10653.492ptだった。全人代閉幕後の記者会見で景気振興策が打ち出されるとの思惑が根強く、大型株を中心に買いが入った。政策期待から金融株が軒並み高となり、指数を押し上げた。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで28億1800万元の買い越し。個別では、宜賓五糧液(000858)、ラックスシェア(002475)、貴州茅台酒(600519)、内蒙古伊利実業集団(600887)、興業銀行(601166)などが買い越しとなり、格力電器(000651)、美的集団(000333)、江蘇恒瑞医薬(600276)、中国国旅(601888)、恒生電子(600570)などが売り越しとなった。
本日の中国本土市場も神経質な展開か。米国の「対中制裁」が警戒されることに加え、人民元相場が安値圏で推移していることも、中国本土からの資金流出につながると懸念されよう。政策で恩恵のある消費関連やインフラ関連の銘柄を選別物色する動きとなりそうだ。
(マーケット支援部 井上)