15日の香港株式市場でハンセン指数は小幅に4日続落。終値は前日比32.27pt(0.13%)安の23797.47ptと、約2週間ぶりの安値を付けた。米中対立の先鋭化への懸念が根強く、世界経済への悪影響の懸念から売りが優勢となった。域内の新規の買い手掛かりに乏しいなか、時価総額上位の中国ネットサービスの騰訊控股(テンセント)が利益確定売りに押され相場全体を押し下げた。朝方に発表された中国の4月主要経済指標は、強弱入り交じる内容で市場の反応は限られた。中国本土から香港株に投資するストックコネクト・サウスバウンド取引は、成約ベースで20億7700万香港ドルの買い越しだった。
15日の米株式相場は続伸し、ダウ工業株30種平均は前日比60ドル08セント(0.3%)高の23685ドル42セントで終えた。経済活動の再開に伴う米景気指標の改善や原油先物相場の上昇などを好感した買いが入った。
本日の香港市場は上値の重い展開か。中国の全国人民代表大会(全人代)の開幕を22日(金)に控え、政策期待が支えとなるも、米中対立懸念の高まりが上値を押さえそうだ。
米商務省は15日に中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する事実上の禁輸措置を強化すると発表した。これに対し中国政府も対抗措置をとる構えを示し、中国共産党系メディアはスマートフォンのアップルや半導体のクアルコムなどが標的となる可能性を報じた。13日の米連邦職員年金基金の中国株投資停止に続き、米中対立懸念を高める材料が出た格好で、香港市場では警戒材料として意識されそうだ。
ハンセン指数を算出する恒生指数(ハンセン・インデックス)社が11日、「種類株の発行企業をハンセン指数に採用するか否かについて、18日夕に公表する」と発表した。香港市場ではアリババの新規上場市場がニューヨークになったことを機に議論が進み、18年に取引所が種類株企業の上場を解禁。その後、アリババ誘致にも成功した経緯がある。今回の指数採用基準の見直しはその流れの一環で、時価総額上位銘柄が主力株価指数に組み入れられていない現状を更正することになるもよう。中国電子商取引(EC)最大手アリババ集団(09988)をはじめとするネット大手がハンセン指数に組み入れられる可能性が出てきたと言え、中国出前サイトの美団点評(03690)や中国スマートフォン(スマホ)メーカーの小米(シャオミ、01810)など、関連銘柄にも注目が集まりそうだ。
(マーケット支援部 井上)
方向感に乏しい展開か。政策期待が支えも米中対立懸念が上値を抑えそう
15日の中国株式相場はまちまちの動き。上海総合指数の終値は前日に比べ1.8835pt(0.06%)安の2868.4587pt、深セン成分指数の終値は2.745pt(0.02%)高の10964.892ptだった。朝方は自律反発狙いの買いが入り高く推移したが、午後にかけて銀行株などに週末の持ち高調整の売りが出て、相場の重荷となった。取引時間中に発表された4月の中国主要経済指標は、鉱工業生産が新型コロナ拡大後では初めて前年同月比で増加に転じるなど、3月と比べ改善を示した。ただ株式相場の反応は限定的で、発表後も上海総合指数は前日終値を挟んで小幅な値動きにとどまった。香港から中国本土株に投資するストックコネクト・ノースバウンド取引は、合わせて成約ベースで11億9400万元の買い越し。個別では、貴州茅台酒(600519)、三一重工(600031)、格力電器(000651)、美的集団(000333)、ラックスシェア(002475)などが買い越しとなり、江蘇恒瑞医薬(600276)、宜賓五糧液(000858)などが売り越しとなった。
本日の中国市場は方向感に乏しい展開か。中国人民代表大会(全人代)の開幕を22日(金)に控え、政策期待が支えとなりそうだ。一方で、週末に報じられた米国の華為技術(ファーウェイ)に対する制裁強化など、米中対立懸念の高まりが上値を押さえそうだ。
(マーケット支援部 井上)