14日の香港市場でハンセン指数は0.30%高の27815.60ptで終えた。中国の李克強首相が13日開いた新型肺炎対策の会合で、今年の経済・社会発展目標の達成に向け、きめ細かな措置を講じるよう指示したと伝わり、投資家心理を支えた。また、中国政府の景気刺激策への期待も根強く上昇に転じた。中国本土から香港株に投資する「港股通」(サウスバウンド・トレーディング)は、成約ベースで29億2100万香港ドルの買い越しだった。
14日の米株式市場でダウ平均は続落し、前日比25ドル23セント(0.1%)安の29398ドル08セントで終えた。中国での新型肺炎の感染者数の増加が続き、景気への悪影響を懸念した売りが優勢となった。米企業業績の底堅さなどを背景とした相場の先高観から下値では買いも入り、指数の下げ幅は限られた。
新型肺炎を巡っては、湖北省政府の16日午前0時(日本時間同1時)時点の集計によると、新たに死者139人、感染者1843人を確認した。感染者数、死者数ともに増加が続いており、収束の兆しは見えていない。さらに、同省では既に企業の休業措置を20日まで1週間延長すると決めており、依然としてヒトやモノの移動は制限されている。企業活動の本格復旧にはまだ時間がかかりそうだ。
本日の香港市場は、新型肺炎の感染状況を気にしながらも、中国政府からの景気刺激策に対する期待感から、一進一退の動きが想定されよう。
(マーケット支援部 飯田)
上値の重い展開か
14日の中国市場で、上海総合指数の終値は0.37%高の2917.0077ptだった。新型肺炎の拡大で企業活動の停滞や景気減速が進めば中国政府が景気対策を打ち出すとの思惑が根強かった。政策の恩恵を受けるとの期待から時価総額の大きな金融株と不動産株に買いが入り、指数を支えた。深セン成分指数も0.48%高の10916.31ptと反発した。香港から中国本土株に投資する「滬股通(上海コネクト・ノースバウンド)」と「深股通(深センコネクト・ノースバウンド)」は、合わせて成約ベースで43億2300万元の買い越しだった。個別では、貴州茅台酒(600519)、中国国旅(601888)、江蘇恒瑞医薬(600276)、恒生電子・ハンサンテクノロジーズ(600570)、上海機場(600009)、内蒙古伊利実業(600887)、立訊精密・ラックスシェア(002475)、などが買い越しとなり、用友網絡(600588)などが売り越しとなった。
16日に劉昆財政相は新型肺炎の影響で生産が打撃を受けているとし、企業支援に向けて「的を絞った、段階的な」税・費用の削減措置を継続していくと表明。必需品や物流を提供する企業への増値税(付加価値税)軽減ないし免除、地方の当局向けの資金供給拡大といった政策を実施するという。
本日の中国市場は、中国政府によるさらなる景気刺激策への期待が支えとなろうが、新型肺炎の収束の兆しはいまだ見えておらず、上値の重い展開がしばらく続きそうだ。
(マーケット支援部 飯田)