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今年後半の中国経済と株式市場の見通し ~追加刺激策と米中交渉に注目~

 GDP成長率は10~12月に前年同期比+4%台前半まで減速すると予想。そうなれば株価は一時的に軟調になる可能性。しかし、早晩、政府が景気刺激策を採用し、景気は安定しよう。加えて、年後半から米中交渉が活発化すると見込まれ、中国株式市場は景気持ち直しと米中交渉を好感し年末にかけて上昇すると見込む。

1~6※月はハンセン指数が21%の上昇

図表1:日米中の主要株価指数の推移

 25年前半(1~6月)の中国株式市場は、ハンセン指数の年初来騰落率が+20.5%、上海総合指数が同+2.1%となった。ハンセン指数は3月19日に24,874ptの年初来高値を付けた後に4月2日の米相互関税導入を受け一時下落したものの、再び上昇。上海総合指数もトランプ関税後で一時的に下落したものの、すぐに回復し、その後は安定して推移。ハンセン指数の年初来騰落率は日経平均株価の▲2.8%や米S&P500指数の+3.6%を上回った。(※24日まで)

年後半は追加経済対策を待つ

図表2:中国のGDP成長率の見通し(追加景気刺激策がない場合)

 中国の1~3月GDP成長率は、昨年10~12月と同様に前年同期比+5.4%と、高い成長を示した。トランプ政権による追加関税実施前の駆け込み輸出が拡大したことや、政府が消費促進のために家電買い替え補助金の対象商品を拡大したことなどが寄与した。

 4~5月は、株式市場が堅調なこともありぜいたく品の販売が拡大し、消費の堅調さが継続した。しかし、米追加関税の影響で米国向け輸出が大幅に減少、輸出全体も伸び率が鈍化した。また、財政赤字の拡大もあり、インフラ投資も減速傾向。当社は4~6月GDP成長率が同+5.0%、1~6月で同+5.2%と予想。

 7~12月については、GDP成長率が同+4.7%と、一段の減速を見込む。米国の対中追加関税が現状の30%で継続すると仮定した場合、米国向け輸出は同4割減、輸出全体でも減少へ転じると見込む。また、輸出の不透明感等から設備投資の鈍化も続くと予想。特に10~12月は、追加の景気刺激策が採用されなければ、GDP成長率が同+4%台前半へ減速しよう。政府は今年の成長目標を+5%前後としているため、秋口に追加の景気刺激策を採用し、+5%成長に一段と近づけると考える。

来年半ばまでには米中は一定の合意に達しよう

 第2次トランプ政権初の米中閣僚交渉である5月10~11日のジュネーブの交渉で、両国は90日間、追加関税率を各々115%pt引き下げ、米国の対中追加関税は30%、中国の対米追加関税は10%とした。6月9~10日の2回目の交渉では、両国が「ジュネーブ合意実施の枠組み」に合意したと発表したものの、詳細が発表されず、合意はなかったとみられる。

 米国は中国との貿易赤字を解消するため、中国に対しては追加関税や米国製品の購入拡大、またアセアン等の米国向け輸出の迂回経由国に対しては中国製品の管理強化を要求している。更に、中国は米国にとり最重要の戦略的競争相手国のため、米国が優位を保てるよう、技術面では半導体規制の強化、海事面では中国海運業の抑制等を目指しているようだ。

 一方で中国は米国の関税や規制を回避するために、巨大な国内市場とレアアースの輸出規制を「交渉カード」にしているようだ。中国のサービス市場は潜在成長力があり、かつ米国が強い分野であるため、米国企業にとって魅力的であろう。また、レアアースはハイテク製品の製造に欠かせず、「産業のビタミン」と呼ばれる。中国は世界のレアアース生産量の約7割を占め、米国も国内需要の7割を中国に依存する。中国は米国の相互関税導入に伴い4月から輸出規制に踏み切り、結果、米フォードが一部生産停止に追い込まれた。

 米中交渉は今後も紆余曲折が見込まれるものの、トランプ政権は来年11月の米中間選挙で米中合意を成果として誇示するため、来年半ばまでに最終合意の締結のために努力すると見込む。今年後半には米中交渉が本格化してこよう。

年末にかけて株価上昇を見込む

図表3:商品別小売売上高の推移

 景気刺激策の採用が遅れた場合、10月以降に景気が下振れる可能性があり、中国株式市場は一時的に軟調となろう。しかし、中国政府は景気下振れを懸念しており、早晩、景気刺激策を採用すると考える。また、米中交渉も年を跨いで活発化すると見込まれ、中国株式市場は年末にかけて上昇しよう。特に、香港市場は欧米投資家の資金流入が見込まれ、上昇率は本土市場を上回ると予想する。

 注目銘柄としては、BAT(百度〈09888〉、アリババ〈09988〉、テンセント〈00700〉)が挙げられる。これらは欧米投資家が好むとみられる銘柄で、欧米投資家が香港市場に戻る時は最初に買われよう。BATはAI技術も進んでおり、AI関連株としても注目されよう。また、政府は景気対策として消費刺激策を重視しており、引き続き消費関連がアウトパフォームすると見る。6月には政府が地方でのEV買い替え推進強化の方針を出し、今年の新車販売台数の見通しも上方修正された。勝ち組のEV関連企業の業績は今年も堅調に推移しよう。また、買い替え補助金だけでなく、政府は休日増加や消費券の配布等により、旅行、娯楽等のサービス消費の促進にも注力。関連企業にメリットは大きいとみる。

 なお、リスクとしては、不動産問題、米中交渉の頓挫、地政学リスク等が挙げられる。不動産問題については、不動産会社の負債総額が24年末でGDP比6割強(当社推計)と、20年のGDP比83%から比率が大幅に低下し、中国経済への影響は縮小している。また、金融当局はリスク管理を強化し、問題がある金融機関は早々に当局の管理下に置き対処。このため、不動産会社の債務問題が景気の足を引っ張る可能性は低いと考える。米中交渉の頓挫は、可能性が相対的に高く、一時的に株価を押し下げよう。ただし、その場合でも政府は景気を重視し追加の刺激策を採用し景気の安定を図ろう。株価の下落は一時的に留まると考える。最後の地政学リスクは、主にイスラエルが中東で起こす可能性が高いと見る。ただし、イスラエルは米国と相談しながらことを進めているとみられ、世界経済に大きな影響をもたらすものではないだろう。

(投資情報部 白岩、CFA)

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