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米中最終合意に向け中国市場は上昇へ ~第1次関税交渉は予想以上の成果~

 第1次米中関税交渉で中国は予想以上の成果を得たが、米国は対中貿易赤字の解消を目指しており、今後の交渉は紆余曲折が予想される。ただ、米国は来年の中間選挙前には最終合意の結果を誇示したいと考える。中国株式市場は米中の最終合意に向けて、ボラティリティを伴うものの上昇傾向を維持しよう。

5月※はハンセン指数が約7%の上昇

日米中の主要株価指数の推移

 5月の中国株式市場は、5月10~11日に開催の米中貿易交渉での早期合意を背景に上昇。5月23日までの月初来上昇率はハンセン指数が+6.7%、上海総合指数が+2.1%となった。香港市場では5月20日に今年の世界最大規模のIPOである寧徳時代新能源科技(CATL、03750)が重複上場を果たしたこともあり、海外投資家の注目を浴びた。日経平均が同期間で+3.1%、米S&P500指数が+4.2%となり、ハンセン指数の騰落率は日米の株価指数を上回った。

(※は23日まで)

米中貿易交渉に期待

米中追加関税の推移

 4月は、米中の追加関税率の引き上げ競争で、米中の相手国に対する追加関税は共に100%以上に設定され、両国間での貿易が難しい状況になった。このため、両国は追加関税による各々の経済に対する影響を懸念し、5/10~11に第2次トランプ政権下で初となる閣僚級の米中貿易協議をスイスで開催。両国は90日間、追加関税率を各々115%pt引き下げ、米国の対中追加関税は30%、中国の対米追加関税は10%とした。事前にトランプ大統領が「中国の追加課税は80%が適切」と発言していたことから、30%の対中追加関税は、中国が予想以上の成果を挙げたと言えよう。

 ただ、最終的な米中合意には紆余曲折が見込まれる。米国の対中追加関税30%の内、20%は合成麻薬フェンタニル対策として米国が年初に発表した措置である。5月の米中交渉で米国は中国の取り組みに一定の満足を示したが、米中貿易摩擦はそもそも、米国の対中貿易赤字が問題である。このため、中国がフェンタニル輸出の管理を強化しても、現行の30%の追加関税率が10%へ引き下げられることはないだろう。米国の貿易赤字縮小のためには、中国による米国製品の輸入拡大が必要だが、詳細については合意されていない。更には、米国の対中貿易で主要輸出品であるとうもろこしや大豆に対し、中国は未だ各々15%と10%の追加関税を課している。また、5月13日に米国はバイデン政権が発表したAI向け半導体規制を撤回する意向を示すと同時に、中国の通信機器大手ファーウェイが開発したAIチップの使用は、世界のどこであっても米国の輸出管理規則に違反するとの指針を発表した。これに対し、中国は「米中合意を著しく損なう」として厳しく抗議。解決すべき問題は山積しており、合意には時間がかかろう。

 まずは追加関税引き下げ期間である90日間に米中交渉がどこまで進展するかが注目される。ただ、米国は来年の中間選挙の前に成果を誇示したいとみられ、米国が中国との交渉を急ごう。来年初め辺りには大筋合意に達する可能性がある。

景気刺激策は7月以降か

月次主要経済指数の推移

 4月の経済指標は、トランプ関税の影響が限定的であることを示した。懸念された米国向け輸出は前年同月比▲21.0%と大幅に減少したが、ASEAN等の新興国向けが拡大し、輸出全体では同+8.1%(3月同+12.4%)と高い伸びを維持した。中国は第三国を経由した米国向け迂回輸出を拡大しているとみられる。輸出の拡大もあり、鉱工業生産指数は同+6.1%と高い伸びとなった。一方、景気の牽引を期待される消費は、政府の補助金政策にもかかわらず伸び率が鈍化した。

 1~4月の財政赤字が前年同期比+53.5%拡大したためか、政府は公務員に対し公私に渡る支出の抑制を指示。これは消費下押し要因になると同時に、政府が今後の追加景気刺激策に対し躊躇する要因にもなり、中国景気の動向には注意が必要であろう。ただ、7~8月になり、米国による中国や迂回先国に対する追加関税の90日の猶予期間が終わり、関税率が引き上げられた場合、中国からの輸出は一段と減少が見込まれる。中国政府の追加刺激策に対する決断は多少遅れる可能性があるものの、刺激策は採用され、政府は景気の安定を図ると考える。

米中の最終合意に向け中国市場は上昇基調を維持へ

海外居住者による人民元建て本土株式の保有残高

 中国景気が相対的にしっかりしていること、米中貿易摩擦も合意方向に進んでいること、ディープシークやファーウェイのAI技術の発達などを背景に、欧米投資家の資金は徐々に中国市場に戻りつつある。今後も米中の交渉に紆余曲折が見込まれることや中国政府の景気対策の不安定性等により、中国の株式市場はボラティリティの高い展開が続くと見込まれる。しかし、トランプ政権は支持基盤である農業従事者のためには中国市場への農作物の輸出を、低所得者層には安価な日用品を提供する必要があるため、中国との交渉を進めざるを得ないであろう。このため、米中が合意に向け動くにつれ、中国株式市場も上昇を続けよう。特に、香港市場は米中貿易交渉に敏感とみられる欧米投資家の影響を受けやすいことなどから、アウトパフォームしやすいと考える。

(投資情報部 白岩、CFA)

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