香港市場
【11月回顧】ハンセン指数は底堅い展開となった
米長期金利の低下、米ドル安・人民元高の進展や中国当局の不動産支援策などを背景に、香港市場は底堅い展開となった。ハンセン指数は概ね17,000pt台で推移した。インフレ鈍化を受け、米10年国債利回りは4.4%台まで大きく低下。サウスバウンド経由の中国マネーの買い越し額は203億HKD(24日時点)となり、上値を買い上げる勢いは乏しかったが、下落局面では積極的な押し目買いを入れた。
個別銘柄では、市場予想を下回る決算を発表した金山軟件(03888)は大きく下落した一方、百度集団(09888)は好決算発表後に大きく上昇した。
【12月見通し】外部環境の改善等で上値探る展開か
12月の香港市場は、外部環境の改善や政策期待などが好感され、上値を探る展開になりそうだ。
米FRBは12月会合でも利上げを見送る公算が大きい。米長期金利の低下、投資家のリスク選好姿勢の強まりは、引き続き相場の支援材料となろう。
テンセント(00700)など中国テック大手が発表した7~9月期決算は概ね市場予想を上回り、投資心理を改善させた。好業績銘柄を物色する流れが継続すると考える。月内に開催する中央経済工作会議では、24年の経済政策方針を決めるため、投資家の注目を集めている。政策期待も相場を下支えしよう。
25~26日はクリスマスで休場となる。
(11/24記:東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
中国市場
【11月回顧】戻り一服、外資売りが継続
11月の中国市場は買い優勢でスタート。上海総合指数は21日に約1カ月ぶり高値の3,089ptまで買い戻された。深セン成分指数は節目の10,000ptを挟み、狭いレンジでのもみ合い推移となった。米長期金利の低下などを受け、対米ドルでの人民元高基調(約5カ月ぶりの高値水準)が相場の後押し材料。一方、中国の景気後退懸念を受け、外資のA株売越額は84億元まで膨らんだ(月初~11/24)。中国政府は不動産やハイテク企業に対して金融面で支援する政策を打ち出すも、効果は限定的。ただ、米中首脳会談を経て相場に下げ止まり感も見られた。
【12月見通し】値固めが先決、医薬関連株に注目
12月の中国市場で各指数は値固めから戻りを試す展開を予想する。上海総合指数は3,100pt、深セン成分指数は10,000ptの回復が視野に入ってくるだろう。景気減速懸念が強まる中、年内開催予定の中央経済工作会議においてデジタル経済を支える「新型インフラ建設」の推進や内需拡大の強調が予想される。サイバーセキュリティ大手の啓明星辰信息技術集団(002439)などが物色されそうだ。
冬の本格化を受け、マイコプラズマ肺炎などの流行拡大が続けば華潤三九医薬(000999)や江蘇恒瑞医薬(600276)など医薬関連株も注目されよう。
(11/24記:上海駐在員事務所 山藤)