香港市場
【6月回顧】緩やかな下落基調が続いた
香港市場は、米インフレ高進や米中対立激化への警戒感などが重しとなり、緩やかな下落基調が続いた。ストックコネクト経由の中国本土マネーの資金流入は大幅に細った。4月と5月はそれぞれ430億HKD強の資金流入があったが、6月は約15億HKDにとどまった(22日時点まで)。
個別銘柄では、中国のEV大手BYD(01211)が好調な販売や半導体事業のスピンオフ上場計画の発表などで大きく買われた。一方、当局による教育産業の規制強化を受け、新東方教育科技(集団)(09901)など同関連銘柄は大きく値を下げた。
【7月見通し】不安定な動きも底堅い展開を予想
7月の香港市場は、不安定な動きが続く可能性が高いと見られるものの、底堅い展開になろう。
主要先進国では、新型コロナワクチンの接種と景気回復が進展しているが、早期の米利上げ観測が相場の重しとなっており、新興国からの資金流出を招く懸念も高まっている模様。引き続き外部環境には注意を払いたい。一方、香港市場のバリュエーションは魅力的な水準にある。大きく下落する場面があれば、値ごろ感から押し目買いが活発化すると見られ、下値余地は限定的と考える。中国本土マネーの売買動向にも注目したい。
1日は香港特別行政区成立記念日で休場となる。
(6/23記:東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
中国市場
【6月回顧】前半は買い優勢も後半に上値重い展開
6月の中国市場で各指数は一進一退の展開だった。元高などを背景に上海総合指数は2日、約3カ月ぶり高値の3,629ptまで上昇。ただ、その後はG7サミットなどを経て対中包囲網形成への懸念を嫌気し、一時3,500pt近辺まで下落した。深セン成分指数も約3カ月ぶりに15,000ptを回復も、下旬にかけてさえない展開。商いは活況だった。1日当たり売買代金(上海+深セン)が1兆元超となる日が目立った。
負極材最大手の上海璞泰来新能源科技(603659)が18日に134元まで上昇し、連日の上場来高値更新。中国の車載用電池市場の高成長が好感された。
【7月見通し】政策関連やサマーストックに注目
深セン成分指数:13,000~16,500pt
7月の中国市場で各指数は堅調に推移しそうだ。上海総合指数は3,600pt、深セン成分指数は16,000ptを目指す動きが強まると見る。中国共産党創立100周年を機に新エネや半導体など国策関連セクターが盛り上がれば相場の下支え材料になりえる。
月後半から本格的に始まる決算発表を機に業績相場の側面も見られよう。21年6月中間期で最大130%増益見通しの歌爾(002241)などに注目したい。サマーストックでは、アイスクリームで中国最大手の内蒙古伊利実業集団(600887)や中国旅遊集団中免(601888)など旅行関連株の値動きも注視したい。
(6/23記:上海駐在員事務所 山藤)