香港市場
【5月回顧】米中対立の激化等を嫌気する波乱相場
月初の香港市場は、米中対立の再燃を受け大幅安でスタート。その後、米国株高や中国の政策期待などで切り返しを見せた。後半は、香港版「国家安全法」が中国の全人代で審議されることを受け、波乱相場に転じた。香港の情勢混乱、米中対立の激化が懸念され、ハンセン指数は22日に23,000ptを割り込み、約2カ月ぶりの安値を付けた。
個別銘柄では、ハンセン指数への採用期待などで、小米集団(01810)や美団点評(03690)が大きく買われた。中国株ADR(米国預託証券)の香港重複上場期待で香港取引所(00388)も値を上げた。
【6月見通し】中国マネーの流入は相場の支えか
6月の香港市場は、引き続き上値の重い展開になりそうだが、下値も限定的と見ている。ハンセン指数のPBR(株価純資産倍率)は1倍割れ、PER(株価収益率)は9倍台(5/26時点)まで低下しており、バリュエーション面では投資魅力が増している。中国マネーの流入も相場の支えとなろう。3月の下落相場時に、ストックコネクト経由の中国マネーの資金流入額は2兆円弱に達した。香港の情勢悪化、米中対立の激化に対する警戒は、引き続き相場の重荷になると見られるが、大きく下落する場面があれば、そこは押し目買いの好機と捉えたい。
25日は端午節で休場となる。
(5/26記:東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
中国市場
【5月回顧】前半は買い優勢も後半に下落
5月の中国市場で各指数は買い優勢でスタート。政府による景気対策への期待などから、上海総合指数は8日に一時2,900pt台を回復し、約2カ月ぶり高値を付けた。深セン成分指数も同日に11,000pt台まで買い進まれた。ただ、対米ドルでの元安基調や、香港版「国家安全法」を巡る米中対立激化の懸念などから、月後半は大きく下落する場面もあった。
個別では、宜賓五糧液(000858)、江蘇恒瑞医薬(600276)など海外投資家に人気の高い銘柄が上場来高値を更新。ストックコネクト経由(香港⇒中国)による買い越し額(5/6~25)は170億元に達した。
【6月見通し】神経質な展開か、内需関連株に注目
深セン成分指数:10,000~11,200pt
6月の中国市場で各指数は神経質な値動きとなりそうだ。米中対立の激化懸念が最大の変数となろう。一方、全人代を通じて中国の対外開放策は不変ということが示された。海外資金が流入しやすい地合いは継続し、相場の下支え材料になりそうだ。
6月には京東(JD)や蘇寧易購集団(002024)などが大型セールを開催するのが恒例。ネット通販関連株の値動きに注目したい。米中対立の影響を受けにくいとされる永輝超市(601933)や順豊HD(002352)など内需関連株の物色も強まろう。
25日と26日は端午節の祝日で休場となる。
(5/25記:上海駐在員事務所 山藤)