香港市場
【3月回顧】月初は堅調も、その後は大幅下落
月初の香港市場は中国当局による相次いだ景気刺激策を好感し、堅調に推移していた。ただその後、新型肺炎(COVID-19)の世界的大流行(WHOは11日にパンデミック表明)による世界景気後退懸念が一段と強まったこと、原油相場や米国株式市場の急落などを受け、香港市場は大きく崩れ、ハンセン指数は19日に3年3カ月ぶりの安値を付けた。その後、米国株高を受け反発の動きを見せた。
個別銘柄では、娯楽関連の銀河娯楽集団(00027)、ネット関連のテンセント(00700)など幅広い銘柄が売られた。
【4月見通し】不安定な動きも底堅い展開を予想
4月の香港市場は、不安定な動きが続く可能性が高いと見られるものの、底堅い展開になろう。新型肺炎感染者数の増勢が鈍化に向かえば、一過性の出来事だとの認識が強まり、見直し買いが活発になりそうだ。また、世界各国の大掛かりな財政出動や金融緩和策は新型肺炎感染拡大による経済的影響を軽減しよう。もっとも、ハンセン指数のPBR(株価純資産倍率)は約1倍、予想PER(株価収益率)は9倍台まで低下しており、バリュエーション面では魅力的な水準にあると言えよう(3/25時点)。
10日は聖金曜日、13日はイースター・マンデー、30日は仏誕節で休場となる。
(3/26記:東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
中国市場
【3月回顧】外資の流出加速で大幅下落
3月の中国市場で各指数は大きく下落。海外資金を中心にリスク回避の動きが強まった。上海総合指数は23日に約1年1カ月ぶりの安値となる2,660ptまで売られた。深セン成分指数も節目の10,000pt台を割り込んだ。中国政府が打ち出した消費刺激策は具体性に欠け、相場の下支え効果は限定的だった。月前半は1日当たり売買代金(上海+深セン)が1兆元超と大商いが続いたが、後半には6000億元台まで減少。流動性がやや細っている。生産と需要の両面の懸念が高まり、米アップル関連の歌爾(002241)や立訊精密工業(002475)などが大幅安となった。
【4月見通し】一進一退か、新型インフラに注目
深セン成分指数:9,000~10,500pt
4月の中国市場で、上海総合指数と深セン成分指数は一進一退の展開となりそう。新型コロナウイルスによる肺炎の世界的蔓延が相場の変数だ。一方、中国国内の感染状況は比較的落ち着いており、経済活動の早期正常化が期待される。
中国の政策に注目してきたい。今後の経済のけん引役となりそうな「新型インフラ」では、特高圧の国電南瑞科技(600406)などが関連株。自動車や家電分野の具体的な消費刺激策が固まってくれば、内需関連セクターへの物色も強まろう。
6日は清明節関連の祝日で休場となる。
(3/26記:上海駐在員事務所 山藤)