香港市場
【11月回顧】下落に転じるも押し目買いが支え
11月の香港市場は月初は米中「部分合意」の署名期待などで上昇トレンドが継続し、ハンセン指数は7日に27,900ptを突破する場面も見られた。8日からは米中貿易協議の行方に関する楽観論が後退したことに加え、激しさを増した香港の暴力的抗議活動も嫌気され、上昇トレンドは崩れ始めた。後半は割安なバリュエーションやストックコネクト経由の中国マネーの流入が相場の支えとなった。
個別銘柄では、アリババ集団(09988)は上場初日の26日に公募価格比6.6%高で引けた。好決算を発表した美団点評(03690)も大きく買われた。
【12月見通し】引き続き米中協議に注視
12月の香港市場は、上値は重いが、底も堅い展開になるか。米中協議の進展は引き続き相場動向を左右する主な材料となろう。「部分協議」が進展するとの期待感が根強く、米国は15日の追加関税発動を遅らせる公算が高いとの見方が多いようだ。米中協議が進展すれば、投資家のリスク志向が強まり、割安な香港市場に見直し買いが入りやすい。トランプ米大統領は「香港人権法案」に署名する可能性が高く、香港情勢に注意を払う必要がある。ただし、中国マネーの流入期待などで押し目買い機運が強く、下値は限定的と考える。
12月25日~26日はクリスマスで休場となる。
(11/26記:東洋証券亜洲有限公司 キョウ)
中国市場
【11月回顧】大きく下落後はもみ合い推移
11月の中国市場は右肩下がりの展開。米中通商協議の不透明感や香港情勢を巡る米中対立への警戒感などから、上海総合指数は22日に約3カ月ぶりの安値まで下落(終値:2,885pt)。深セン成分指数も同日、9,626ptまで売られた。中国人民銀行は最優遇貸出金利「LPR」の1年物を4.20⇒4.15%に引き下げて金融緩和を図ったが、相場の反応は限定的だった。
個別では、貴州茅台酒(600519)が19日に一時1241元まで上昇し、上場来高値を更新した。A株のMSCI比率の再引き上げを前に(11/27発効)、海外投資資金に人気のある大型株を中心に買われた。
【12月見通し】神経質な展開か、政策後押しに期待
深セン成分指数:8,500~10,000pt
12月の中国市場で、上海総合指数と深セン成分指数は神経質な展開となりそうだ。米国による対中追加関税第4弾(12/15発動予定)の行方は依然として不透明。米中通商協議で何らかの合意がなされるかが鍵となるため、進展状況による相場変動に一喜一憂する展開は変わらないだろう。
年内開催予定の中央経済工作会議では「積極的な財政政策」の継続が予想され、三一重工(600031)などのインフラ関連株に注目したい。また、1月の春節(旧正月)休暇シーズンを前に、宜賓五糧液(000858)など消費関連株の物色が強まろう。
(11/22記:上海駐在員事務所 山藤)