中国当局は「自立自強」の掛け声の下、ハイテク分野を中心に国産化を推進中だ。産業用ロボット、電気自動車(EV)、スマートフォン(スマホ)などで国産ブランドの躍進が目立ち、半導体やバイオ医薬品分野などでも自給率向上を目指す。自国ブランド推しの「国潮」ブームを背景に、スポーツ用品などでも中国地場系の存在感が増した。米国の対中強硬姿勢の強まりが予想される中、国産化の流れはさらに加速するだろう。
外資系からシェア奪う中国企業
中国は2015年5月に発表した「中国製造2025」で、25年までの「世界の製造強国の仲間入り」を掲げ、各分野で国産比率の目標を設定している。例えば産業用ロボットでは「25年に70%」とした。実際には、19年に初めて30%を超え、23年には47.3%まで上昇(国際ロボット連盟(IFR)による)。直近、24年1~9月期では51.6%になったとのデータもある。25年の70%達成は微妙なところだが、ここ数年で着実にシェアを向上させてきた。
中国市場では元々、外資系(ファナックや安川電機など)が強かった。ここに中国系最大手の南京埃斯頓自動化(エストン、002747)が食い込み、24年上半期では全体で第2位に浮上。アフターサービス面での素早い対応などで差別化を図ってきたという。
自動車市場でも地場系メーカーの台頭が目立つ。これまではブランド力が高い日系やドイツ系、米系が人気だったが、電気自動車(EV)など新エネルギー車の販売が増え始めた20年以降に中国地場系のシェアが拡大。乗用車分野では22年後半に国産比率が50%を超え、直近24年11月は64.4%となっている。新エネ車市場では最大手のBYD(01211)を筆頭に新興EVメーカーの躍進も目覚ましい。
このほか、スマホ市場(24年7~9月期)では、vivo(ビボ、シェア19%)、華為(ファーウェイ、同18%)、小米集団(シャオミ、01810、同15%)など中国系が上位を占めるほか、スポーツブランドでは安踏体育用品(02020)がナイキを抜いて市場トップになったとされる。自給率向上が遅れていた半導体は、14年の14%台から23年には23%まで上昇し、27年には27%に迫ると見られている。
(投資情報部 奥山)