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今月の特集記事【特集2】中国消費市場の"今"を追う ~ネット融合強化や地場ニーズ優先、深化する消費現場~

中国に新しい風が吹いている。激辛火鍋を食べ、スマホ出前を頼み、夜間経済も堪能する。そして、最後に頼りになるのは地元ニーズを汲み取ったローカル企業。消費現場の"今"を追う。

火鍋人気が沸騰中

成都市中心部では火鍋レストランがひしめき合う。

「歓迎光臨!(いらっしゃいませ!)」――。威勢のいい掛け声が飛んでくる。四川省成都市に本拠を置く火鍋(鍋料理)レストランの「大龍燚」。中国各地で300店以上を展開し、"行列のできる激辛火鍋店"として有名だ。市中心部の店を訪れたのは平日18時過ぎ。すでにほぼ満席状態の店内には、唐辛子や花椒、各種香辛料の匂いが充満している。食べる前から身体の火照りを感じるほどだった。

火鍋人気は中国各地に及んでいる。商業モールのレストラン街で行列ができているのは大抵、鍋料理のレストラン。冬場にこの傾向は一層強まるだろう。500店舗以上の火鍋店をチェーン展開する海底撈国際控股(ハイディーラオ、06862)は、19年6月中間期で前年同期比59.3%増収と絶好調だ。

"夜のオタク族"が夜間経済をけん引

いつも忙しそうなバイク配送スタッフ

火鍋店を出ると、配送バイクが縦横無尽に走る姿が目に入る。車道も歩道もお構いなし。彼らは「外売(ワイマイ)」と称されるフードデリバリー(ネット出前)の配達スタッフだ。予定配送時刻に遅れると評価に響くため、バイクのスピードは自然と上がる。

昼食と夕食のピーク時に加え、夜間の配送も多い。フードデリバリー大手の美団点評(メイトゥアン、03690)によると、ホワイトカラー層の4割が夜間(一般的に18時から翌朝6時。一部夕食時間帯と重なる)に出前を利用している。夜食文化が浸透している中国ならではのデータだ。

中国政府が推し進める「夜間経済」(ナイトタイムエコノミー)。デパートやモールは22時頃まで開いており、映画の終了時間が24時を過ぎることも普通。市民レベルでは自然と夜を楽しめる環境があるが、実際には"夜のオタク族"が多いという。美団点評などがまとめた「2019年中国白領夜間消費調研報告」では、ホワイトカラー層の82.8%が夜は「家で過ごす」と答えている。

彼ら"オタク族"は、ネット動画やネット通販などに加え、ネット出前も活用しているという。前述の報告によると「メイン消費は夜」と答える者が全体の41.4%に上る。「夜間経済」と言うと、演劇や音楽のレイトショー、バーなど飲食店の充実などが真っ先に思い浮かぶが、在宅でもネットを駆使して夜の経済を満喫できる。数字ではなかなか見えにくい夜の消費行動。スマホ経由のフードデリバリーは、"ステルス型夜間経済"の代表格と言えようか。

オンラインとオフラインの融合

実店舗でもネット注文が呼びかけられている

成都から高速鉄道で30分強の眉山市。人口約350万人の典型的な地方都市だ。17年にイトーヨーカ堂が出店し、消費市場も盛り上がってきた。

市中心部の東坡区にある永輝超市(601933)は、夕方の買物客でごった返していた。「ネットだけでなく実店舗も捨てたもんじゃないな」。そう感じたのもつかの間。「美団外売」「京東到家」という文字とネット注文を推奨する広告が目に飛び込んできた。

スマホで美団点評や京東商城(JDドットコム、JD)のアプリを開き、永輝超市を検索。すると、生鮮品や飲料品、日用雑貨などスーパーで売られているほぼ全ての商品が写真と共に紹介されている。買いたいものをタップしてバーチャルの買い物かごに入れ、キャッシュレスで決済。指定時間に自宅まで配送される(有料)という流れだ。

テンセント(00700)が約2割出資する美団点評は、出前で培った配送ノウハウを生かし、リアル店舗との提携を進めている。街の小さな青果店では、同社のイメージカラーである黄色いウェアを着たスタッフが商品をピックアップする姿をよく見かける。

ライバルのアリババ集団(09988)も攻勢を強めている。傘下のネット出前大手「餓了麼(ウーラマ)」や自前のネットスーパー「盒馬鮮生(フーマー)」で注文された商品は、青が基調のユニフォームを着たスタッフの手で運ばれる。「黄」と「青」の争い。ネット大手の攻防があらゆる街で繰り広げられている。

キラリと光る地場系企業

成都に根差したローカルスーパー

一方、独自路線を掲げるのは、永輝超市が21%出資する成都紅旗連鎖(002697)だ。同社は成都市を中心に約3000店のスーパーやコンビニを展開。美団点評と提携して配送サービスを行うものの、中心はあくまで実店舗だ。店舗に公共料金などの支払いや列車チケット購入などができる端末機を設置し、地元民の利便性強化を図っている。売上構成比率は、食品が約50%、タバコ・酒類が約26%(19年6月中間期)だが、生鮮品や中食・惣菜はほぼ置かない。プライベートブランド(PB)商品は「以前、取り組んだことがあるが、向いていないのであきらめた。平台(プラットフォーム)に注力する」(証券事務代表の羅楽氏)という潔さだ。

中国各地を巡ると、ローカル需要を徹底的に狙い、規模のメリットで圧倒する地場系企業が多いことに気付く。その一つが周黒鴨国際控股(01458)。オリジナルの「ピリ辛アヒルの鹵菜(ルサイ=中華香辛料に漬けた惣菜)」の専門販売店を1255店展開(19年6月末時点)。中国で圧倒的支持を受けるこの"ブランド食品"は、軽食やおつまみの代表的存在だ。

1人鍋を提供する呷哺呷哺餐飲管理(シャブシャブ、00520)は、中国各地で955店を運営中(同)。カウンター席とテーブル席があり、家族や友人同士でも楽しめる。様々な味の鍋料理を手軽に味わえ、火鍋人気の波にうまく乗っている。売上高はここ3年でほぼ2倍になった。

成都紅旗連鎖の羅氏は、当社との意見交流の際、「最近、海外投資家の訪問が多い。やっと消費分野が注目されてきたのかも」とつぶやいていた。消費不振が伝えられている中国だが、しっかり地元に根を張って地道にニーズを拾い続ける元気な地場系企業もある。投資対象として消費セクターに再注目していきたい。

(上海駐在員事務所 奥山)

※文中の写真は全て東洋証券撮影

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