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中国からの便り

第219回:子育てはコスパが悪い?膨らむコストと社会の変化

中国の婚姻数と出生数

「責任感より不安感の方が大きいですね」――。浙江省の中規模都市に住む新米パパが苦笑しながら語ってくれた。地元出身の男性31歳。同年代の女性と昨年お見合い結婚し、今年2月に第一子が生まれたばかり。先日、出産祝いに行ったところ、思わぬ苦悩の声を聞いた。

中国では近年、育児コストの高さが問題視されている。「中国生育成本報告2024版」によると、中国の0~17歳まで(満18歳までと同義)の育児コストは平均53万8312元(約1130万円)。1人当たり国内総生産(GDP)の6.3倍に達する。豪州の2.08倍、フランスの2.24倍、米国の4.11倍、日本の4.26倍などを大きく上回り、ほぼ世界最高水準だ。

中国の育児コストは地域により大きく異なる。上海市は101万130元(約2121万円)、北京市は93万6375元(約1966万円)など都市部で高い傾向にあるが、青海省は37万8670元(約795万円)、チベット自治区は34万8505元(約731万円)にとどまる。教育レベルや生活環境などの差が背景にあるようだ。

数字の話ばかりで恐縮だが、冒頭の知人が住む浙江省の育児コストは85万4942元(約1795万円)で、上海、北京に次ぐ全国第3位。これは大きな家計負担だ。彼は「専科(2~3年の短期大学)卒だから、高給取りにはなれない」と嘆く。数カ月後に復職予定の奥さん分と合わせると、世帯所得は1万元程度らしい。昇給や物価変動などを考慮せずに単純計算すると、子供が18歳になるまで月収の約4割が育児向けに費やされる。幸運なことは、彼ら夫妻が住む2LDKのマンションは親から譲り受けたもので、住宅ローンの心配がないこと。マイカーも買ってもらったもの。それでも生活に余裕があるわけではないという。

中国では「結婚や出産(育児)はコストパフォーマンスが悪い」という声を時々聞く。人生の大事を「コスパ」の一言で片付けるのはいかがと思うが、それだけ負担が大きいことも事実だ。前述の育児コストを大学本科卒業まで拡大すると68万312元(約1428万円)に膨らむ。

中国の2023年の出生数は前年比5.6%減の902万人だった。直近ピークの1883万人(16年)からわずか7年で半減したことになる。一方、23年の婚姻数は768万組で、14年から続いていた前年割れは一旦ストップ。もっとも、新型コロナ禍の反動もあると見られ、今後は不透明だ。

前述の「報告」は、婚姻数が減少傾向にある理由として以下の3点を挙げる。①若年人口の減少、②結婚コスト増、仕事上の大きなプレッシャー、女性の教育水準や経済的独立レベルの大幅上昇など、③男女人口比の不均衡(結婚適齢期の20~40歳では男性が女性より1752万人多い)――。社会的及び文化的観念などから婚外子が避けられる、つまり「結婚してから子供を産む」のが一般的な中国では、婚姻数の増減が新生児の数と密接に関係してくる。

知人夫妻に「結婚して子供も生まれたばかりだから、これからの生活もますます頑張らなきゃね!」と声を掛けたが、返してくる笑顔にやや力がない。奥さんは4人姉妹なので、自身も賑やかな家庭がいいと思いきや、「子供は1人で十分ですね......」と言う。これが現実的な声なのだろうか。

(東洋証券上海駐在員事務所 奥山 要一郎)

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