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中国からの便り

第207回:思惑絡んで難航続き?エレベーターの新設事情

新設された団地の外付けエレベーターの例(撮影)東洋証券

足が重く、息づかいが荒くなるのは88段の階段を上った後の「後遺症」だ。自宅があるのは6階建て団地の最上階。階段上りは我慢できなくもないが、運動嫌いの筆者は時々「早くエレベーターを付けて」と心の中で祈っている。毎日の「後遺症」から逃れるために......。

神様に私の祈りが届いたのだろうか、今年2月、団地でエレベーター新設についてのアンケートが行われた。筆者はもちろん「同意」の一択だ。

中国には中国ならではのエレベーター事情がある。「住宅設計規範」によると、7階建て以上の建物にはエレベーター設置が義務化されている。逆に言えば、6階以下の建物はエレベーター不要。設置義務を避けるためか、従来型団地のほとんどは6階建て以下だ。上海の中心部でもこのような「低層アパート」がよく見られる。だが、時代は高齢化社会に突入。お年寄りの上り下り(昇り降り)問題も浮上してきた。

上海市政府は数年前から古い団地でのエレベーター新設プロジェクトを推進してきた。いわば「外付け&後付け」の代物だ。ただ、この取り組みは順調とは言えない。2018年から22年までに新設されたエレベーターは約4300台に上ったが、6階建て以下の建物は市全域で約20万棟あるため、焼け石に水にすぎない。

エレベーターの新設時には住民の意見聴取を行い、3分の2以上の同意が必要となる。ただ、メリットが感じられない低層階の住民が拒否する場合が多い。上海の古い団地では、建物間の距離が狭く、低層階の部屋には採光や換気の問題が元々ある。エレベーターを設置するとその問題がさらに悪化するほか、騒音問題も発生してしまう。さらに深刻なのは、上層階より出入りが便利というメリットがなくなり、物件価値が抑えられてしまうこと。同じく低層アパートに住む義理の両親は、エレベーター新設の意見聴取の際、躊躇せず「不同意」にした。なぜなら1階に住んでいるから。必要性すら感じないということだろう。

もっとも、利便性を享受できる立場にある上層階の住民が必ずしも同意するわけではない。その理由は大きな負担。エレベーター1台の新設には75万~85万元(約1500万~1700万円、1元=20円換算)かかる。政府補助金は出るものの、残りは住民が共同負担する。筆者が住む団地の例では総額78万元。出資比率は、1~2階に住む住民がゼロ、3階が14%、4階が22%、5階が29%、6階が35%となっている。階が高いほど負担率も高くなるという仕組みだ。これによると筆者の負担は9万元(約180万円)。上海のオフィスワーカーの平均年収19万6053元(21年)の半分近く。実に高い。

筆者の団地は1980年代末に建設され、住民にはお年寄りの方が多い。論理的に考えればエレベーター需要はあると思う。ただ、2月のアンケート後は何の進展も見られない。賛成か反対かを明らかにしていない住民もいるそうだ。どうやら、「夢のエレベーター新設」は夢のまま終わりそうだ。

上海市の「第14次五カ年計画(21~25年)」によると、25年までに1万台以上のエレベーターを新設する計画だ。その実現を期待する......と言いたいところだが、今の団地のエレベーター新設を祈るよりは、エレベーター付のマンションに引っ越した方が現実的とも思えてきた。そんなものかもしれない。

(東洋証券上海駐在員事務所 孫 佳賢)

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