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中国からの便り

第156回:教育現場に流れるマネー 学力偏重社会のウラ側

気分転換として校庭で授業を受ける中国の小学生。後ろではなぜか親が見守っている (撮影)東洋証券

「好好学習、天天向上」(よく学び、日々進歩する)――。これは、中国人なら誰もが幼少期から心に留めているフレーズだ。中国建国の父、毛沢東がある少女に贈った言葉とされる。筆者が通っていた中国の小学校では、校庭や教室など至る所にこの言葉がスローガンとして飾られていた。実に崇高な響きと思う反面、中国が「超学歴社会」と言われる根本かもしれないと感じる。その社会を支える教育の現場では今、マネーの匂いがプンプンしている。

中国の子供は「一流の学校に入らないと将来は真っ暗だからね」と耳にタコができるほど言い聞かされる。受験戦争は早い。義務教育は日本と同様、小学校から中学校までの9年間だが、小学生の時にセンター試験のような"共通学力テスト"が行われ、その成績によって進学先が半ば強引に振り分けられてしまう地域もあるようだ。「一流中学にすら入れないのなら、倍率が異常なほど高い(少なくとも倍率20倍以上の)名門大学に入るのは到底不可能」と考える親は多い。まずは学力が高い中学校への入学こそが、将来の成功に向けた第一歩なのだ。

都市部ほど競争が激しく、勉強のプレッシャーも高いらしい。小学生の時から親子揃って必死に勉強に取り組んでいる家庭も少なくない。学費が比較的安い公立校の人気が高く、倍率も高い。繰り返しになるが"中学受験"の話だ。

いわゆる"内申書"も重視される傾向にある。見栄えを良くするため、大学生でも難しいとされる「英語通訳」などの資格取得を強いる親もいる。塾に通わせたり家庭教師を雇う家庭も多い。親は教育関連の出費は惜しまないため、財布の紐は緩くなる。道理で教育市場が拡大するわけだ。

「教える側」の話を聞くと、生々しい現実が見えてくる。筆者のマンションの隣人は定年退職した元教師。彼は週末になると自宅で小学生相手に"勉強教室"を開催している。生徒数は3人で、1人当たり1時間300元(約4800円)で英語を指導中という。1日の授業は2時間。月収1万4000元(約23万円)になる計算だ。これは、上海の平均月給7000元(約11万5000円)の2倍に相当する額。代金は生徒の両親から微信(WeChat)経由の個人間送金。キャッシュレスの"とっぱらい"だ。細かい話だが、確定申告はしないし、税金も取られないようなので、表には出てこない教育マーケットと言えるだろうか。

名門大学の現役学生の中には、アルバイト感覚で大手学習塾の講師を引き受け、夏休みの2カ月間だけで60万元(約990万円)を稼いだというつわものもいる。上海の公立小学校で教師として働く知人は、その荒稼ぎぶりを聞き、「教育分野は"暴利"だ」と妬み交じりでつぶやいていた。教師は副業厳禁(当たり前)。職員会議でも強調されているという。それでも、クビ覚悟で、こっそり自宅で教えている者もいるそうだ。教師は保護者から信頼されやすく、ダメと分かっていてもお互いのメリット(教師=小遣い稼ぎ、親=子供の学力向上)が優先されてしまう。

中国の子供は勉強三昧。政府はその負担減を狙い、「小学校低学年の宿題禁止」「資格取得の年齢制限」などの対策を出しているが、それでも学習熱は収まらない。塾は賑わう一方で、家庭の教育費は増え続ける。

この中で育つ子供は、個性を持たず得意分野もない「中国教育の犠牲者」と言われてしまうだろう。冒頭の毛沢東は「健康が1番、勉強は2番」とも強調していたという。行き過ぎた"学力偏重社会"が変わっていくことを期待したいのだが......。

(東洋証券上海駐在員事務所 山藤 秋男)

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