不透明な先行きがおもしだが
6/10-6/14の日本株式市場は、外部環境の不透明感が強い状況下、神経質な展開を想定する。
米中貿易摩擦問題に加えて、トランプ米大統領が「メキシコからの全ての輸入品に5%の関税を課す」と述べたことで、貿易問題や世界景気減速などへの懸念が強まったもよう。加えて、円が対ドルに対して一時107円台後半での推移となったことも、株式市場にはおもしになったと言えよう。
もっとも、2019年3月の短観(日銀、4/1発表)によれば、大企業・製造業の2019年度の想定レートは108.87円、そして輸出を行っている上場企業の2018年度の採算レートは99.8円(内閣府、3/29発表)であったことを考え合わせれば、過度に懸念する必要はないのではないか。
足もと、日経平均の株価純資産倍率(PBR)は1.03倍(6/3、QUICK)まで低下する場面があった。現状、PBRが解散価値とされる1倍を割り込む水準まで下落するとは想定しにくい。日経平均の20,000円台前半は、押し目買いが有効と考える。
法人企業統計、企業業績は堅調なものに
財務省は6/3、2019年1-3月期の法人企業統計を発表。全産業(金融業、保険業を除く)の売上高は前年同期比3.0%増の372兆5204億円で、10四半期連続の増収となった。経常利益(同)は同10.3%増の22兆2440億円に。金額は1-3月期としては過去最高、全期間で過去3番目だった。
米中貿易摩擦等の影響により、企業業績の悪化が懸念されていたが、堅調さを保っていたことが確認されたと言えよう。
GDP改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業(金融業、保険業を除く)」の設備投資額は前期比(季節調整済み)で1.1%増に。
(6/6記 マーケット支援部 大塚)