政策こそ中国株投資のキモ
3/5に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代)。李克強首相は冒頭の「政府活動報告」で2022年の目標として「GDP成長率5.5%前後」を掲げ、秋の共産党大会などを控えて今年は安定を最優先とする方針を示した。第14次五カ年計画(2021~25年)が動き出している中、産業政策で大きなサプライズはなかったが、デジタル経済、新エネルギー車、新型インフラ建設、脱炭素などが改めて強調された。政策に左右される中国株市場で大きな投資テーマになっていくだろう。
「推し」はデジタル経済と新エネ車
17年に政府活動報告に初めて登場したデジタル経済は、今回も注力分野のほぼ筆頭格として挙げられた。5Gの活用などを通じて工業インターネットや人工知能(AI)の発展を加速させ、産業のデジタル化を促す大方針は不変だ。また、内需拡大・消費回復のポイントとして新エネルギー車の支援が挙げられた。自動車取得税の免除(実質的な継続政策)や充電スタンドの建設サポートなどを行う。農村部でのエコ家電購入や買い替え補助の実施も後押しし、市場の拡大と共に生活水準の向上を促す。
インフラの中心は特高圧やデータセンター
インフラ分野の「適度な前倒し」も示された。地方特別債の発行規模を前年並みの3兆6500億元とし、水利・交通などの建設をさらに進めるほか、特高圧やビッグデータセンターなど新型インフラにも注力する方針だ。脱炭素も大きなテーマ。風力や太陽光など新エネ分野の強化、特に大型発電基地を後押しする。電力網の利用能力向上もうたわれ、送電設備やシステム関連に恩恵がもたらされそうだ。
(上海駐在員事務所 奥山)