日本は世界に先駆けて「超高齢社会」に突入している。2010年には既に総人口に占める65歳以上の者の割合が23%に到達。高齢化率は今後も上昇を続け、2065年には約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上の者となると推計されているようだ。
かねてより少子高齢化による人口減が懸念されていた。バブル崩壊後低迷する日本経済の先行きを占う上で、特にこの高齢化にどう向き合っていくかが最優先課題と言えよう。
政府は2013年の「日本再興戦略」より「健康寿命の延伸」を掲げており、「未来投資戦略2017」では経済成長実現のための戦略分野の1つに設定された。
特に重点が置かれている印象が強いのが、健康寿命を限りなく平均寿命に近づけるというもの。QOL(生活の質)向上といった個人の幸福度から社会全体への大きな効果、さらには高齢者の社会参加を通じた各種社会問題の解決を図るという狙いのようだ。
前出の戦略の2018年版では、具体策として早期予防から生活支援までの総合的な認知症対策に取り組むことや、ヘルスケア産業の活性化を図る方針が示された。既に官民を挙げての取組みが進んでいるようで、健康経営の浸透や、健康増進や生活習慣の改善をコンセプトにした保険商品の開発がある。
「健康大国ニッポン」への道のりにおいて重要になると思われるキーワードとしては、「予防」と「介護」が挙げられよう。
日本人の死因は老衰よりも悪性新生物(腫瘍)や心疾患(高血圧性除く)が突出して多く、こうしたものに罹患するのを防ぐ、いわゆる予防医療の在り方が重要性を帯びてこよう。また、仮に罹患したとしても、その後の社会復帰を円滑化するためのリハビリ含めた介護の在り方も同様の文脈で語ることも可能と考えられる。
世界に先駆けて超高齢化社会に突入する日本だからこそ、高齢化と経済成長の両立モデルを世界に提示することが可能だろう。「健康大国ニッポン」の成否は国際社会における日本の存在感を占おう。
(マーケット支援部 山本)