百花繚乱哉、EV
世界の株式市場でEV(電気自動車)に関連する銘柄が物色されている。米EV専業のテスラが12/21付で世界の機関投資家が参照指標とするS&P500指数へ新規採用される予定であるのに加え、世界中でEV導入が加速していることが背景にあるようだ。
例えば、ドイツでは11月の新車販売の内EV・PHV(プラグインハイブリッド車)の割合が全体の2割に達した。EV単体のシェアでも、19年通年は1.8%だったのが今年1-11月の累計では既に5.8%に達している模様。期待先行だった投資テーマが具体化している。
EVの心臓「電池」を巡る覇権争い?
EVに関して注目されるのが、動力源(つまり心臓部)となる車載電池だ。最近の動きとしては、環境への取り組みが最も進んでいるとされる欧州への投資拡大が挙げられる。地場となる欧州勢やアジア勢が本格化させており、2025年には2019年比で生産能力が15倍以上になる見通しだ。
電池の技術動向にも要注目だろう。既に現行のリチウムイオン電池では中国CATL(寧徳時代新能源科技)等が供給規模やコスト競争力を武器に席巻する勢い。一方で、次世代電池として注目を集めている「全固体電池」は、日本勢が研究開発で先行しているとされている。次々世代通信規格「6G」同様に日本勢が巻き返しを図る最重要領域だ。
全集中、「全固体電池」の呼吸
日本勢が研究開発で先行しているとされる全固体電池は、現行のリチウムイオン電池よりも電解質の材料次第では従来の3倍超の性能を実現させることが可能な模様。また、他にも、従来型と比較した際のメリットが指摘されている。
とはいえ、実際にEVに搭載するとなると、現時点では課題が山積している様子。例えば、EV向け高性能品となると液漏れとは別の観点から安全性に懸念(燃えやすい)がある他、量産技術が確立されているとは言い難い点が挙げられるようだ。
そうした課題はあれど、非常に多くの企業が実用化・量産化に向けて動きを加速させているのが現状である。日本企業の顔ぶれを見ると、自動車世界的大手のトヨタに加え、村田製作所、TDK、日立造船、パナソニックと、多岐に渡っている印象だ。更に言えば、日本特殊陶業の様に従来の車載部品メーカーが全固体電池へ注力している点も見逃せないだろう。かつて日本勢は現行型リチウムイオン電池で世界に先行した。十分な対策を以てすれば、「日の丸全固体電池」は決して夢ではないかもしれない。
主な関連銘柄(銘柄略称)
(マーケット支援部 山本)