中国株は冬に上がるジンクス?
中国株相場は「秋から年末にかけて買い優勢」という長年のジンクスがある。近年は米中貿易摩擦などの不確定要因が増え、この方程式はなかなか通用しないものの、相場の季節性というロジックは生きているはず。そこで今回は個別銘柄に焦点を絞り、中国株の「ウィンターストック」を探ってみる。
"春節"が大きなキーワードに
まずは白酒。中国では年末から春節(旧正月)にかけて宴会や家族の集まりが多くなる。2021年の春節は2月12日で、その前後に酒消費も盛り上がりやすい。例年、12月から1月にかけて「白酒の事前購入が増えている」などと大きく報じられ、セクター全体が動意付くケースが多い。最大手の貴州茅台酒(600519)やブランド力が高い宜賓五糧液(000858)、高級酒メーカーの一角を占める瀘州老窖(000568)などの値動きに注目だ。
春節という観点からは、中国旺旺HD(00151)も関連株となろう。故郷で親戚一同が集まる際、スナック菓子が子供に配られることが多い。永輝超市(601933)などのスーパーでは旺旺(ワンワン)の菓子詰め合わせが山積みになって売られている。洽洽食品(002557)の看板商品である「ひまわりの種」は、家族団らん時のおつまみの定番でもある。また、近年は贈答品として健康に良い乳製品の人気が高く、大手の内蒙古伊利実業集団(600887)や中国蒙牛乳業(02319)が注目されるかもしれない。
ウィンタースポーツではスキーの人気が高まっている。22年北京冬季五輪の会場を訪れるスキーヤーやスノーボーダーが急増しており、ハルピン、広州、無錫などには室内ゲレンデ(屋内スキー場)がある。「デサント」ブランドを合弁展開する安踏体育用品(アンタスポーツ、02020)のビジネスチャンスがさらに広がっていきそうだ。防寒具では、ダウン衣料最大手の波司登国際HD(03998)が代表格。「独身の日」(11/11)のネット通販セールの販売は前年同期比35%以上の増加となり、ピークシーズンへ向けて幸先の良いスタートを切った。
火鍋ニーズと免税ショッピングに注目せよ
冬季は大気汚染が深刻化しやすく、クリーンエネルギー関連株も物色されやすい。燃料の「石炭から天然ガスへ」という動きの高まりもキーワードだ。中国ガスHD(00384)や新奥能源HD(02688)は年初から春先にかけて株価が上昇しやすいという経験則もある。
そして冬と言えば火鍋。最大手の海底撈国際HD(06862)の行列は相変わらずで、春節にかけてはファミリー需要も伸びやすい。商業モールで多く展開する呷哺呷哺餐飲管理(シャブシャブ、00520)も書き入れ時だ。
最後に、今冬の要注目分野として免税旅行を挙げておきたい。離島免税政策が実施されている海南島は、年末から春節にかけて"避寒旅行"ニーズが高まる。年間を通じて観光客が多いのもこの時期だ。免税店最大手の中国旅遊集団中免(601888)や、ネット旅行手配大手の同程藝龍HD(00780)などの値動きを注視していきたい。ただ、新型コロナの感染再拡大で旅行や帰省機運が一時的にしぼむ可能性もゼロではなく、各種要因を見ながらの慎重な投資姿勢も必要だろう。
(上海駐在員事務所 奥山)