米CESは「テック化」を反映
米ラスベガスにおいて、現地時間1/7-1/10に、世界最大級の家電・技術見本市「CES2020」が開催された。同イベントでは、様々な先端技術に関する発表がなされた。各種報道をもとに簡単に総括してみれば、全産業に「テック化」の波が及び、デジタル技術が企業活動の根幹になるというような印象だ。
世間を驚かした?ソニーの自動運転車
CES2020では、業種を問わず様々な企業がAIに関する発表等を行った他、オムロンによる新世代「卓球ロボット」、米P&Gによる「スマート紙おむつ」、米アマゾンによるAR(拡張現実)を活用した自動車販売の近未来コンセプト、米インポッシブル・フーズによる新しい代替肉等の発表が相次いだ。
そのなかでも独自動車大手アウディの幹部も驚いたとされるのが、日本の電機大手ソニーによる自動運転EV(電気自動車)の発表だ。画像センサーやAI、クラウド等のソニーの技術を組み合わせたこの自動運転システムを搭載した試作車は、車体の内外に画像センサー等の33個のセンサーを搭載。2020年度の公道での走行実験を目指すが、市販は予定していないとのこと。「過去10年のメガトレンドはモバイル(携帯電話)だった。これからはモビリティーだ」とし、これまでモバイル向けが中心だった同社の画像センサーに関し、自動車向け市場を開拓していく方針のようだ。また、シートにスピーカー等を内蔵することで、車内をエンターテインメント空間にする仕掛けも設けているようで、ソニーの今回の動きだけでも、自動車を再定義しなければならない局面に来ていることが改めて再確認できたと言えよう。
間近に迫る「自動車の再定義」
自動車の再定義を象徴する言葉の1つに「CASE」がある。コネクテッドカーといったような次世代自動車に関するキーワードの頭文字を連ねたものだが、CES2020では既存の部品各社もこれを深掘りする技術に関する発表があったと伝わっている。一方で、既存の自動車系企業に加えて、パナソニックのような家電企業や米アマゾンのようなIT企業が参画する車載ソフトウェア団体「オートモーティブ・グレード・リナックス(AGL)」の存在感が増しているようだ。
AGL絡みの話題に関しては、トヨタがAGLによるソフトをベースにしたシステムを搭載した新型「RAV4」を出展。共通ソフトをベースにいかに機能を拡張するか、というメッセージが感じられたとの指摘もある。
このように、自動車の進化という未来(或いは次世代自動車の到来)はすぐそこに迫っていると言っても過言ではないだろう。業種の垣根を越えて、自動車を再定義していくことが急務となっているようだ。
主な関連銘柄(銘柄略称)
主な関連銘柄としては、日本株ではパナソニック(6752)、ソニー(6758)、デンソー(6902)、米国株ではアマゾン(AMZN)、クアルコム(QCOM)などが挙げられよう。
(マーケット支援部 山本)